「いじめられている君へ 広い海へ出てみよう」
東京海洋大学によると、天皇陛下とさかなクンは席が離れており、講義室では話を交わされなかった。しかし、その後の懇親会には陛下も参加されており、そこでさかなクンとお話しされた可能性もありそうだ。
実は、さかなクン、2006年10月10日の「魚魚(とと)の日」から同大の客員准教授をしている。そして、その肩書きで同12月2日に朝日新聞に掲載したコラムが、陛下との遭遇の一件で再び脚光を浴びているのだ。
コラムのタイトルは、「いじめられている君へ 広い海へ出てみよう」。
そこで、さかなクンは、中学1年のとき、吹奏楽部で一緒だった友人にだれも口をきかなくなったこと、いばっていた先輩が3年になったとたん無視されたことを振り返る。そして、こうしたいじめは、魚の世界と似ているというのだ。
「たとえばメジナは海の中で仲良く群れて泳いでいます。せまい水槽(すいそう)に一緒に入れたら、1匹を仲間はずれにして攻撃(こうげき)し始めたのです。けがしてかわいそうで、そのさかなを別の水槽に入れました。すると残ったメジナは別の1匹をいじめ始めました。助け出しても、また次のいじめられっ子が出てきます」
さかなクンは、こうした体験を踏まえ、いじめが起こる小さな世界に閉じこもることなく、広い空の下、広い海へ出てみることを呼びかけている。
このコラムは、当時も大きな反響を呼び、絵本「さかなのなみだ」が出版され、人気番組「SMAP×SMAP」でも紹介された。現在もサイト記事が閲覧可能で、急激にはてブが伸びて累計1400件以上も付いている。
客員准教授として、さかなクンは、大学のイベントや学園祭で学生に魚の暮らしぶりなどを話している。こうした場でも、人間に通じる、その世界を紹介しているのかもしれない。