酒井法子被告(38)の初公判が2009年10月26日に開かれる。世間を騒がし、関心が高いだけに、傍聴席券入手競争は激烈なものになりそうだ。裁判史上最高の256.1倍に達した96年4月のオウム真理教・麻原彰晃死刑囚初公判の1万2292人を超えると予想する向きもある。そうした中、傍聴席券入手のアルバイト広告を出す業者も現れた。
これまでの最高倍率は、傍聴券48席に1万2292人が並んだ麻原死刑囚の公判だが、最近では音楽プロデューサー、小室哲哉氏の裁判に1304人が並び、21.4倍を記録した。06年9月に行われたライブドア元社長、堀江貴文氏の公判は2002人が並び32・8倍だった。
「テレビキー局から依頼された」
有名人の公判では、テレビ、新聞、雑誌などのメディアはアルバイトを使い、傍聴券を入手しようとする。実際に傍聴したかしないかで、報道のリアルさに大きな差がつくからだ。傍聴券を得るためにはまず整理券もらわないといけない。整理券が「当選」すれば、傍聴券は記者やコメンテイターに渡される。
人材マネジメントを手がけるアーキテクトは、ネットで、
「最高視聴率30.4%をマークしたあの薬物事件の初公判!並んで整理券を獲得するだけ」
とうたい、「傍聴席獲得アルバイト」の募集を開始した。最高視聴率を獲得したのは言うまでもなく酒井被告のことだ。
アルバイト採用の条件を見ると、履歴書や面接は不要で年齢も不問。勤務時間は60~90分を予定していて バイト代は1500円。交通費は出ない。傍聴券獲得(当選)の場合は報奨金が5000円プラスされる。当たった傍聴席は
「報道番組の制作のためにご提供いただきます」
とのことだ。
アーキテクトの本来の事業はテレビ局の番組制作協力で、番組観覧者やエキストラを募集・派遣などを行っている。そうしたテレビ局との付き合いから「傍聴券を獲得してほしい」という依頼があったという。
「依頼は在京キー5局のうち3~4局の報道担当者から来た」
と同社は明かす。リポーターやコメンテイターに裁判を傍聴させるのが目的だ。一方、同じ局でも報道に関係する番組は複数あり、同じ局であってもそれぞれの番組ごとに、傍聴券の争奪戦を繰り広げている。