民主党が進めている高校授業料の実質無償化の対象に、国公立高校や私立高校だけでなく、専修学校のほか、朝鮮学校、インターナショナルスクールなどの生徒も含まれることが分かった。文部科学省予算概算要求の中に含まれており、国籍も「日本国籍に限定しているわけではない」という。
文科省は2009年10月15日、10年度の予算概算要求を提出した。09年度比8.98%増の5兆7562億円で、民主党がマニフェストで10年度から実施すると掲げていた公立高校の実質無償化予算として4501億円を計上。低所得者を対象にした奨学金創設に123億円を要求している。
「私立高校生等」に外国人学校生徒が含まれる
この高校実質無償化に関し、文科省が15日に発表した内容は
「国公立高校生のいる世帯に対し授業料相当額を助成して実質的に授業料を無料にするとともに、私立高校生等のいる世帯に対しても同等額を助成」
というもの。国公立高校の授業料は無料。私立高校生のいる世帯に対しては、国公立高校の授業料と同等額の年間「11万8800円以内」が支給され、低所得世帯に対しては倍の「23万7600円以内」が支給される方針だ。
「私立高校生等」というのには、文科省初等中等教育局の担当者によると、「高等学校課程に類する専修学校や各種学校」に通う生徒が含まれるという。
専修学校には美容師や調理師の養成学校などがあり、中卒者対象の高等課程が対象となる。各種学校というのは、学校教育法が定める「学校」ではないものの、学校教育に類する教育機関と規定された学校のこと。看護や簿記学校の他、インターナショナルスクールや北朝鮮系の朝鮮学校の多くが含まれる。
「まだ概算要求の段階なので、確定した訳ではない」
専修学校や各種学校を対象の範囲内に入れる意向であることは、鈴木寛副文科相が14日付けの毎日新聞の記事の中で明らかにしていた。4月に参議院で可決された民主党の「高校無償化法案」の中でも対象に入っている。文科省の担当者は、
「民主党の『高校無償化法案』をベースにしています。幅広い人に教育の機会を提供すべきという政務三役の意向を受け、政府として概算要求に盛り込みました。」
といい、国籍に関しても「現段階では日本国籍に限定しているわけではありません」。だが、まだ概算要求の段階なので、確定した訳ではなく、
「今後の予算編成の過程で、財政的な問題などを考慮しながら検討してくことになります」
とのことだった。