静岡県の川勝平太知事が全国知事会議に出席した後の定例記者会見で、「知事は政治屋ばかり」などと批判したうえで、「知事会は出席するに値しない」と断言、脱会まで示唆した。新たな「知事連合」のようなものを作りたい、というのだ。いったい何があったのか。
川勝知事は2009年7月に民主党推薦で静岡県知事に初当選した。早稲田大学を卒業し、同大学の経済学部教授、静岡文化芸術大学学長などを歴任。政治や行政の経験はない、根っからの学者だ。静岡県では野党推薦で当選した初めての知事となった。そんな川勝知事が初めて「全国知事会」に出席したのが09年10月9日。そこで、「出席するに値しない」と感じたのだという。
「援助をもらうことについての技術に長けている人たち」
「国と地方の協議機関の法制化」を目指すことが前回の知事会で決定。これについて、進行状況の報告が今回行われたことがきっかけだった。知事会の代表が官房長官から、地方の代表は誰か、そこで何を協議するのか、決まった事柄をどう担保するのか、と質問された。しかし、何も答えられなかったという報告に愕然としたためだ。
川勝知事も地方分権を掲げて知事に当選。「国と地方の協議機関の法制化」がその切り札と考えていたが、知事会に参加してみると、結局、これは地域分権を目指すのではなく、ダムや道路などの建設を「陳情する場」にしようとしているだけではないか、と考えるようになった。
09年10月13日に行われた会見では、記者から質問されていないのに、次々と知事会批判を展開した。法制化によって、大臣や党三役に2~3分会って陳情する、そういう「陳情合戦になる」とし、「そのような場所には参加しない」と明言した。
さらに批判は続き、知事会は県の事情を訴えるパフォーマンスの場に過ぎず「中味は烏合の衆」と言い切った。周りの知事達を見渡すと、官僚から天下ってきたような知事が目立ち、
「霞が関から、政治家から、援助をもらうことについての技術に長けている人たちが半分を占めているような知事会になって、非常に器が小さくなっている」
「ポリティシャン(政治屋)はいるかもしれませんがステーツマン(政治家)がいない」
などと言いたい放題、ばっさり切り捨てた。