音を出す方は加害者意識がない
この問題に詳しい「行政書士小野法務事務所」の小野知己さんは、国分寺市の条例制定に、「過剰行為を抑止できるという意味では、評価できるのでは」と指摘する。
「生活音によって、トラブルに発展することはよくあることです。たとえば、下の階の人間のドアの開け閉めの音がうるさくて、嫌がらせを受けていると感じた上の階の人間が、ある時、帰宅を待ち構えて首をしめようとした殺人未遂事件もありました」
ほかにも、上下階の人同士が生活音をめぐって、天井をつついてやり返したり、あるいは、どなりこんでいったりしていくという話はよくある。ただ、小野さんは「集合住宅という構造上、仕方がない部分はある」という。赤の他人同士が一つの建物を共有しているからだ。
「音を出す方も加害者意識がないのが、問題点。だから本当は法律・条例ではなくて、人間関係が大事だと思うんです。挨拶をしたり、話を交わしたりして、コミュニケーションをとれれば、いいんですけどね」
国分寺市では、「音によって引き起こされる隣人トラブルが、重大な事件となってしまうのを未然に防ぐのも狙い。隣人同士では、解決が難しい場合もあるでしょう。トラブルに対して、市が携わっていくことで、市民の良好な生活環境を整えられれば」と話している。