「私どもは、仲良くさせて頂いたのでショックです」
もっとも、首藤信彦議員は、江畑謙介氏が置かれた状況にも理解を示す。
「どこの国でも、軍事専門家は、軍人や戦場の経験者、軍事産業の従事者、政府顧問がなっています。しかし、日本では、こうした人たちは話すことが少ない。だから、評論家はバーチャルになってしまうということです。卑しめているのではなく、この世界の難しさを同情してブログを書きました」
妻の裕美子さんは、取材に対し、「私どもは、仲良くさせて頂いたのでショックです」と話している。
一方、専門家には、首藤氏の議論にも理解を示す向きがある。
軍事評論家の田岡俊次氏は、こうコメントを寄せている。
「江畑氏は本来、政治色がなく、技術的に精密でデータの豊富な記事を書かれ、感服することも多かった。ただ、首藤代議士のような中東・アフガニスタン問題の専門家から見れば、米国のアフガン戦争、イラク戦争などに関する江畑氏の論評には得心のいかない点が少なくなかったのもうなずける。首都を取ったから戦争はアメリカの勝利で、その後、治安維持に苦労した、という江畑氏の論評には私も首を傾げた。戦争は総合的なもので、首都を取っても負けた例は多い。ソ連のアフガン侵攻は初日に首都カブールを制圧したし、日中戦争でも日本は首都南京を攻略したが、戦争には勝てなかった。江畑氏は晩年、外務省等の政府の委員を委嘱されることが多かったためか、『米軍再編』などの著書もよく調べてはあるのだが、沖縄などの基地返還の可能性について否定的結論が多く、実際には米側がその後返還を申し出たため、食い違いが表面化したこともある。江畑氏の記事、論評はあくまで理科的であり、社会科的(歴史、民族性、政治、経済など)な観点で戦争を見る首藤代議士は不満だったのだろう。実際には、理科、社会の両面からの観察が必要なのだ」