読者への説明責任の観点からも問題がある
これを受けて、6月18日の会見では、秦報道官は「事実ではない」と明確に否定した上、「まるで(スパイ小説の)『007』を読んでいるようだ」と皮肉っている。また、6月30日には、英フィナンシャルタイムズを引用する形で、金正雲氏の訪中を改めて報じたが、専門家からは、信憑性に対する疑問の声は消えないままだ。
つまり、朝日新聞の「特ダネ」が当事者によって直接否定されるのは、今年に入ってから2回目だ。
前出の辺編集長は、一連の報道について、
「新聞の記事は、読者が購読料を払って読んでいるものです。視聴者が直接の費用負担をしていない民放テレビでも、誤報があればお詫び・訂正をします。それなのに、記事に対して疑問を呈されているのに、ウヤムヤにしたり、頬被りしたりするのは、とんでもないこと。ちゃんと白黒を付けるべきです。特に、今回は2度目ですし、本当に『記事の内容に自信がある』のであれば、疑問をフォローするだけの続報を出すべきです」
と、読者への説明責任の観点からも問題があるとの見方をしている。
一方、朝日新聞社の広報部は、今回の中国外務省の反応について
「当該記事は、確かな取材に基づき記事にしたものです」
とコメントしている。