東京都内のデータ分析会社が、競馬の予想プログラムを使用して得た配当金を申告していなかったとして、国税局から約160億円の所得隠しを指摘されていた。1回のレースで数億円を稼いだこともあったという。競馬で儲けるのは至難の業だ。「いったいどんなプログラムなのか」「本当なのか」といった声がファンから上がっている。
血統や天候データから結果を予想
2009年10月9日の新聞各紙の報道によると、香港に親会社のある都内のデータ分析会社「UPRO(ユープロ)」が、東京国税局の調査を受け、07年3月までの3年間で、約160億円の所得隠しを指摘された。同社は株式市場の分析を事業目的としているが、主な収入は「予想プログラム」を使って得た競馬の配当金だったという。
重加算税を含めた追徴税額は約60億円。国税局は08年3月にも法人税法違反容疑で、同社を強制調査していたが、その後、英国人の社長が海外に出国。資産の大半は既に海外に持ち出されており、国税局が差し押さえできたのは約20億円に止まった、という。
気になるのがその「予想プログラム」だ。同社はそのプログラムを独自に開発していたといい、出走馬の血統や天候などのデータをもとに結果を予想。億単位の資金で馬券を購入し、1レースで数億円の配当金を得ていたという。
競馬ライター「プログラム売ってほしい」
「160億円ですか。驚きを禁じ得ませんね」
『中央競馬ビギナーズガイド』などの著書がある競馬ライターのかなざわいっせいさんはそう語る。レースはあくまで馬が走るのであって、人間の介在する要素が少ない。着順も馬の鼻や首など「ちょっとした差」で決まることも多く、「そう簡単には当たらない」という。
また、100億円のレースでも25%が税金に持って行かれるので払い戻しは75億円。そもそも胴元が儲かるようになっており、常に当てようとしても「絶対儲からない」という。
「私も30年間競馬やってるけど、年間でプラスになるのが3年に1回くらい。1回のレースで2000万勝った人も知っていますが、その前に数億円負けてますからね」
ちなみに、レースで何らかの不正があった可能性に関しては、
「八百長で勝つには他の17頭に負けて貰わなければならないわけで、そんな根回しは出来ませんよ。筋肉増強剤などの薬物を使用するにしてもレース後に尿検査があるかもしれないのでリスクが大きすぎます。落馬して意図的に負けることはできても、勝つ方は無理ですね」
と否定している。
「だから160億円というのは本当に凄い。そのプログラム売ってくれるといいですね。5万円だったら買います」
とのことだった。