毎日と共同が「有料記事」配信 「ニュースは無料」打ち破れるか

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   毎日新聞と共同通信がニュース記事の「有料配信」に関して新たな動きを見せた。毎日新聞がアマゾンの電子リーダー端末「キンドル(Kindle)」で英字ニュースの有料配信を始めたのに対して、共同通信の記事もアップルのスマートフォン「アイフォーン(iPhone)」で読めるようになった。ネットでは「ニュース記事は無料」という認識が一般的だが、新聞業界による「記事の有料化」は成功するのか。

アマゾンの電子リーダー向けに「英字ニュース」を配信

アイフォーン上で指を動かすだけで、共同通信の写真ニュースを次々と読める
アイフォーン上で指を動かすだけで、共同通信の写真ニュースを次々と読める

   毎日新聞は2009年10月7日、アマゾンが販売する次世代型の電子リーダー端末「キンドル」に向けて、英文サイト「毎日デイリーニューズ」の記事の有料配信を開始した。日本の新聞社としては初めての試みだ。

 

   キンドルは電子ペーパーを搭載したモバイル端末で、携帯電話の通信機能を使ってアマゾンの電子書籍サイト「キンドルストア(Kindle Store)」から電子書籍や電子新聞をダウンロードできる。これまで米国内だけで販売されてきたが、アマゾンは同日、日本を含む100カ国以上でキンドルを販売すると発表し、予約受付を始めたばかりだ。

 

   毎日デイリーニューズもキンドルストアで販売。米国内で購読する場合は月額9ドル99セント(約880円)、米国外の場合は同13ドル99セント(約1230円)で購入できる。

   一方、共同通信も10月7日、新たな有料記事配信を始めた。システム開発会社のイーストが制作した記事閲覧のためのアイフォーンアプリ「共同通信ニュース by 記事蔵」に毎日約150本のニュース記事と約50枚のカラー写真を提供する。こちらは3カ月で350円という価格設定だ。

「有料化で成功するのは、深い分析が加えられた記事」

   アプリを開発したイースト・コミュニケーション事業部の加藤一由樹課長は

「指で画面をはじくだけで簡単に次の記事が読めるなど、アイフォーンらしい操作性を工夫した。画面が縦置きのときは通常の新聞記事で、横置きにすると写真ニュースに切り替わるというように、エンターテインメント性も意識している」

と、他のニュースコンテンツとの違いを強調する。

「無料のニュースサイトがライバルだが、ユーザー2万人の獲得を目指したい。メディア企業には、これを記事有料化の一つのモデルとして認知してもらいたい」

と他のメディアとの提携にも意欲を示し、いわば携帯サイトにおけるNTTドコモのiモードのような展開を期待している。

   しかし、携帯電話の公式サイトをのぞけば、インターネットでは「ニュース記事は無料で読むもの」という認識が一般的だ。記事を提供する共同通信は「米国ではニュース記事の有料化の動きがあるので、日本でも同じことが起きるのではないか」と目論むが、はたしてうまくいくのか。

    新聞業界に詳しいジャーナリストの佐々木俊尚さんは

「米国でウォールストリートジャーナルなどがネット記事の有料化で成功しているのは、専門性が高くて、深い分析が加えられた記事を提供しているためだ。それに対して、通信社が配信している記事は他の無料サイトでも読めるものがほとんど。あえて有料で読もうという読者は少ないのではないか」

と懐疑的な見方をしている。

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