NHKのインタビューに応じれば、世論を味方にできる
手紙の趣旨は、
「結論から申しまして、公判の途中ですが、近々にNHKのインタビューに応じていただけないでしょうか」
と、取材を申し込むためのものなのだが、その取材趣旨が異例のものだ。文面では、
「現に裁判では、弁護側がいわば的外れな見解を繰り返している間に、検察側は着々と犯罪事実の立証に足る、最低限の条件をクリアしていっています」
と、弁護側の方針を批判し、検察側が有利に公判を進めていると分析。さらにこう持ちかける。
「NHKのインタビューに応じて、その行動にいたった動機を正直に話せば、世間の納得は得られるはずです。仮に有罪判決になってもインタビューに出て世間に本音をさらしたことで執行猶予がつくのは間違いありません。逆に無罪を主張し続ける限り、減刑の余地はなく、実刑になる可能性も否定できません」
いわば「このまま無罪を主張すると実刑になるリスクが高い。だが、ここでNHKのインタビューに応じて犯行動機を話せば、世論を味方にできる。執行猶予も狙える」と決めつけて取材を申し込んでいるということだ。
これに対して、壇弁護士は
「天下のNHKがこれほど露骨な弁護妨害をしてくるとは思わなかった」
と憤る一方、
「しかも、この記者は、地裁判決後の記者会見で、何食わぬ顔で最前列に構えていた」
と、記者の図々しさに嘆息している。
NHK広報局では、ブログで指摘されている手紙については
「金子氏の1審の裁判中に、当時の京都放送局の記者が金子氏に対し、弁護士のブログで紹介されている内容の手紙を送ったことは事実です」
と、その存在を認めた上で、取材手法の妥当性については
「記者が手紙を書いた意図は、著作権などの問題について金子氏に直接取材するためでしたが、弁護活動などに触れた部分は取材活動として不適切でした。弁護団にはNHKとして既にお詫びし、金子氏ご本人にもお伝えいただくようお願いしました」
としている。