台風18号による暴風の影響で2009年10月8日、首都圏の朝の交通も大きく乱れた。山手線や中央線などJRの路線の大半が運転を見合わせる事態となり、通勤客は駅の構内で待機したり、タクシーに乗り換えたりしなければならなくなった。中には自宅勤務に切り換えた人もいた。
「隣の駅まで歩いてください」
東京都杉並区のJR高円寺駅でも、多くの乗客が待ちぼうけを食わされた。改札前では午前9時30分ごろ、職員が「JRは止まっていますので、地下鉄に接続している隣の中野駅まで歩いてください」とアナウンスしていた。
霞が関の官庁に出勤するところだった公務員の男性(35)は、
「1時間前から待っているが、まったく動く気配がない。近くの地下鉄駅まで歩こうかとも思いましたが、乗車まで1時間以上かかるというのであきらめました。ただ待つしかないですね」
と苦りきった表情で話した。一方、新橋の印刷関係の会社に勤める男性(28)は
「近くの喫茶店も満席だったので、もう家に戻ろうかなと思いました。台風が上にいる間はだめですね。でも、こうなることを見越して、昨日仕事を進めておきました。1年に1回あるかないかのことなので、この状況を楽しもうと思っています」
と落ち着いた様子で話していた。
タクシーもバスもだめ
一方、いつもは西葛西駅から東京メトロ東西線を利用している会社員女性(30)は、出勤をあきらめ、在宅勤務することにした。同線では、強風で地上区間の運行を見合わせており、中野-東陽町での折り返し運転が続いている。
「9時頃の西葛西駅は、ものすごい人の数で、タクシーやバスの前には長蛇の列が出来ていました。京葉線や総武本線の駅までバスで移動するという手もあるのですが、両路線も動いていません。普段なら、運転再開まで駅前のドトールやロッテリアで時間をつぶすのですが、そこも人であふれています。運転再開のメドがたたないので、これから自宅に帰ります」