新型インフルの予防について、うがいやマスクは特殊な環境下でなければ効果が薄いと専門家が指摘している。むしろ手洗いや人込みを避けることが重要だというのだ。
うがいやマスクに、日本の文化的背景
新型インフルエンザに対し、どんな予防対策をしているか。ケータイサイト上でセガが1万人余にアンケートしたところ、「うがい」を3割の人が、「マスク」を1割の人がしていた。同社が2009年9月30日に結果を発表した。
うがいもマスクも、日本では珍しくない光景だ。ところが、インフルに詳しい元北海道小樽市保健所長の外岡(とのおか)立人さんは、どちらも科学的なはっきりした効果が言われていないと指摘する。
うがいについて、感染を予防するのは理屈の上から難しいと言う。
「ウイルスが気道の粘膜に付くと、20分以内で細胞内に取り込まれてしまいます。その間にうがいをしないと意味がありません。また、うがいをするのは口の奥ぐらいですが、ウイルスはもっと奥に入り込んでいます。確かにうがいは気持ちがいいですが、そこまで到達できないんですよ」
また、マスクをしても、医療従事者のように使用法を厳格に守らない限り、効果が期待できないとする。
「医療従事者は、きっちりした専用のマスクをしています。また、明らかにウイルスが飛び交っている中だからこそ、それに意味があるんです。しかし、一般の人が四六時中、こんなマスクを外さずに着けているのは難しいでしょう。いつも感染者に面と向かっている状況ではないからです。せきがかかって、ウイルスが顔や髪に付いても、すぐに洗い流すわけでもありません。ですから、街中でマスクを着用する意義がはっきりしないんですね」
外岡さんは、うがいやマスクは欧米にはなく疑問を持たれるものの、日本の文化的背景があるとして一定の理解を示す。ただ、むしろ発病者が出歩いたり、そのそばに寄らないようにしたりする方が効果的だというのだ。