鳩山由紀夫首相(62)が大一番で必ず身に付けているのが、金色のネクタイだ。総選挙の日、首相指名の日、国連演説の日――いずれも胸元には金が光った。それにあやかろうというのか、百貨店には、これまで全くなかった金色・黄色のネクタイに問い合わせが相次いでいる。顔を明るくみせる効果が期待できるという。
4色揃えているネクタイのうち「黄」だけ品薄に
小田急百貨店・紳士服売り場の担当者によると、金色のネクタイについて問い合わせる人が、日に2~3件はあるのには驚いている。これまでは、全くなかったからだ。「金色」は品数が少ないこともあって、似たような「黄色」をすすめることもある。購入していくのは、夫と一緒に足を運ぶ40代女性たち。中には、リクルート中と思われる若い人が手に取っていくこともある。担当者は「きっと『勝負』があるのでしょうね」と笑う。
金・黄色のネクタイに対して需要が増えているため、担当者によれば、品数を揃えようと、「国内メーカーには問い合わせている最中です。ただ、そのメーカー側も急のことで、対応しきれていないようです」と明かす。特に、鳩山首相が身に付けていたイタリア・ブランド「ゼニア」のネクタイはすでに、品切れとなってしまった。もともとこれは春・夏商品のため、数に限りがあったのだ。
一方、東武百貨店では鳩山内閣発足後すぐに、金・黄色のネクタイを集めた特設コーナーを設けた。そうしたところ、40~50代の女性を中心に、ギフト用として購入していく人が目立っている。今では、同じ柄で4色揃えているネクタイのうち、「黄」をベースにしたものだけ品薄という状態だ。鳩山首相が身に付けているストライプのデザインは人気があり、1日に2~3本は売れているという。
ちなみに、金・黄色のネクタイは決して売れ筋ではなかった。10年以上前一度だけ、黄色ベースのネクタイが流行したことがあったが、とりわけ秋口は季節柄、えんじ系の比較的暗めの色が好まれている。担当者は、「鳩山首相が身に付けていたのが、新鮮に映ったのでは」と分析している。
自信がある人というイメージを与える
さて、スーツ着用の際、その人の個性をアピールできるのがネクタイとも言える。金や黄色を取り入れたネクタイは人に、どんな印象を与えるのだろうか。
日本ファッション協会「流行色情報センター」の担当者は、派手すぎない金色のネクタイは、「シックで大人っぽい、上品な印象を与えます」と指摘する。前出の東武百貨店売り場担当者は、黄・金色のネクタイは、顔を明るくみせる効果が期待できると話している。
一方、カラーコンサルタントの高坂美紀さんは、鳩山首相が身に付けている金色のネクタイをして、「『金』には、素晴らしい存在としてアピールする力がある」と話す。
「見た人にとってはありがたい、おがみたい、立派だ――そんな好印象を与えます。身に付けることによって、『自信』をもつようになる色です。同時に、(鳩山首相が身に付けている)ネクタイはストライプの幅も大きいことから、人に対しても同様に、自信がある人というイメージを与えています。一国の首相が身に付けることで、国の運気アップをもたらすでしょう。色の戦略としては、非常によいと思います」