ルイ・ヴィトングループの売上高も20%減
ただ、事情をよく知る関係者は、こんな見方をする。
「2010年秋以降にヴェルサーチは日本で新店舗を出す計画もあり、一旦クローズという方が正しいかもしれません」
本店を移転する計画だったが、そこへリーマンショックの打撃を受けて移転が難しくなった。バブル期の名残がある本店で営業を続けるよりも、一度クローズするほうがよいと方針を転換したのでは、と前出の関係者はいっている。
しかしヴェルサーチは08年に中国に10店舗も出店している。売れない日本に見切りをつけたとも言えそうだ。
日本での高級ブランドの売れ行きは依然厳しく、ルイ・ヴィトンやクリスチャン・ディオールを傘下に持つ高級ブランド最大手の仏モエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)は、09年1~6月期の日本での売上高(円ベース)が前年同期比20%減少した。アメリカの13%減、ヨーロッパの5%減よりも減少幅が大きい。一方、日本を除くアジアでは4%増加した。
仏の宝飾ブランド「カルティエ」を傘下に持つスイスのリシュモンは、09年4~8月期の日本の売上高(ユーロ)が7%減だった。
矢野経済研究所によると、08年の海外高級ブランドの日本市場は1兆643億2600万円(小売金額ベース)で、前年比89.8%の大幅なマイナスを記録した。同社は「09年の高級ブランド市場規模はさらに縮小し、1兆円の大台を割り込むだろう」と予測している。
かつて「ドル箱」と呼ばれていた日本市場だが、中国やインドなど新興国に鞍替えするブランドが今後も出てきそうだ。