2009年9月の外国為替市場は、鳩山内閣が誕生して以降、藤井裕久財務相の「円高容認」発言もあって急激な円高米ドル安に見舞われた。市場はいまだ円高基調にあるが、この機に外国為替証拠金(FX)取引が活況を呈した。東京金融取引所の「くりっく365」の売買動向によると、「米ドル円」取引の売買高は前月比44%増の193万5916枚(1枚は1万通貨単位)となり、過去最高を記録した。
1ドル90円を境に殺到
「くりっく365」の米ドル円取引が6か月ぶりに過去最高を記録した。売買高の193万枚は、09年3月の152万枚を上回った。
9月25日に1ドル90円を割り込み、終値で89円62銭を付けた。値動きが大きかったため、個人投資家などが格好の投資機会ととらえて取引が進んだようだ。
「やはり藤井発言の影響が大きいですね。90円を境にして、一気に売買が活発化しました」と、東京金融取引所の関係者は話す。
活発な「米ドル円」取引のけん引役は個人投資家だ。ひまわり証券のFX担当者は、次のように説明する。
「ここ数か月で、ドル安のトレンドははっきりしています。当面の米ドル見通しも弱く、対円でもその流れに乗っているといえます。そもそも、ドル円はアナリスト情報なども豊富ですし売買しやすいですから、初心者も含めて、取引の多くは米ドル円が占めています。そうしたことが今回のドル円の売買の多さにつながっていると考えています」