BBCが強い分テレビ広告市場も小さい
もっとも、この調査には懐疑的な声も相次いでいる。
英BBCやインディペンデント紙が伝えるところによると、「インターネットに抜かれた」側のテレビ業界側は、メールによるキャンペーンや検索エンジン連動型広告も「オンライン広告」として集計されていることを問題視しているようで、
「これらの要素は別々に評価されるべきで、十把一絡げに評価するのは公正ではない」
などと言い張っている。
一方、「英国独特の事情がある」と見るのは、ニューヨーク・タイムズやウォールストリート・ジャーナルなどの米紙だ。英国では、広告市場に対するテレビ広告に割合が他国に比べて小さい、というのがその理由だ。この背景には、英国最大のテレビ局は、CMを流さない公共放送のBBCだということがある。いわば、「BBCが強い分、民放が弱い。その分、テレビ広告市場も小さい」という構図だ。
日本の広告事情に目を転じると、英国とは大きく状況が異なるようだ。電通が09年2月に発表した「日本の広告費」によると、08年のインターネット広告費は前年比16.3%増の6983億円。一方のテレビ広告費は前年比で4.4%落ち込んでいるが、額としては1兆9092億円もある。両者の差が縮まっているのは確かだが、日本が英国のような事態を迎えるまでには、時間がかかりそうだ。