大手コンビニエンスストア各社が加盟店を対象に年2回実施している新商品の説明会が2009年9月に相次いで開かれた。各社が今後半年間に投入する目玉商品が一堂に展示される催しだが、その中で目を引いたのが、従来より低温で管理して販売期限が3~4倍に伸びる「チルド弁当」だ。消費者に「もったいない」という意識が広がる中、弁当の大量廃棄という業界共通の課題に各社が本腰を入れ始めたといえそうだ。
セブン、09年春までに全国の店舗で販売を開始
最大手セブン-イレブン・ジャパンが展示したのは、販売期限が従来比で最大6倍近くに伸びる弁当。同社によると、11月から中華丼や牛丼など4品目を380~398円で、まずは首都圏で売り出し、来春までに全国の店舗で販売を開始する。店内での保存温度を現在の20度から5度前後まで下げることで、これまでは製造後15時間前後だった販売期間が約61~85時間まで広がるという。
セブンは、炊飯工程で酵素を加え、時間が経っても品質が落ちず、ふっくらした食感を保てるご飯を新開発したという。チルド弁当の導入により、店舗での在庫を多く確保でき、これまで1日3回だった店舗への配送を1回に減らしたり、工場を地域ごとに集約したりする合理化効果が見込めるという触れ込みだ。鎌田靖同社常務は「在庫管理をしっかりすれば弁当類の廃棄はほとんどなくなり、コスト削減にもつながる」と強調した。
チルド弁当では、07年から売り始めた業界3位のファミリーマートが先行。同社は関東・中部地域から販売地域を徐々に広げてきたが、9月末から全国約7000の全店舗で販売する。オムライスやハンバーグ弁当など6種類あり、セブンなどに比べてメニューの多さが特徴だ。イオン系列のスリーエフもチルド弁当の新メニュー開発を進めている。
「出来立て弁当」で廃棄削減目指すローソン
一方、弁当の廃棄削減に別のアプローチで取り組んでいるのが業界2位のローソン。同社は4~5年前から、「出来立て弁当」プロジェクトに取り組んでいる。店内で注文を受けてから2分以内に提供することを条件に試行錯誤を続けているが、早ければ来年中には商品化が可能になるという。
コンビニ業界ではこれまでも弁当など食品類の大量廃棄に対する独自の取り組みを続けてきた。セブンは2~3年前から、グループのイトーヨーカ堂などから出る食品廃棄物などを一斉回収し、農業肥料に再加工する取り組みを続けてきたが、スケールメリットが働く首都圏などでの取り組みにとどまっている。加盟店の発注精度を上げるため、情報システムの改善も続けているが、客の需要を完全に予測することは難しい。いつ行っても必ず欲しい商品が十分に並んでいるという、コンビニが生み出した利便性に慣らされてきた消費者の意識転換も求められているのかもしれない。