「コクの微糖」、バリエーションも増える
「微糖・ゼロ系」人気の背景には、健康やダイエット志向の強まりがあるが、そもそも缶コーヒーを好む人にはヘビーユーザーが多く、1日に何杯ものコーヒーを飲む愛飲家にとって、甘みを抑えた「微糖」のニーズはあった。
さらに、「微糖」タイプが売れ筋になってくると、各メーカーがこのジャンルにこぞって商品を投入。競争が激化して、これまで以上に「味わいの多様化」が求められるようになった。それが「味のつくり込み」技術の進化につながったようだ。
「微糖・ゼロ系」で最も売れている「ジョージア ヨーロピアン微糖」は2002年、初の「微糖」缶コーヒーとして発売された、いわばパイオニア的な存在だ。ヘビーユーザーも飽きさせない「コク」のある味わいが特長で、日本コカ・コーラのマーケティング本部ジョージアグループの坂下真実マネージャーは、「ローカロリーだけど、しっかりした味わいとコクを楽しみたいというニーズに応えた」と話す。
ユーザーの多くが30歳以上の働き盛りの男性ということもあって、「仕事のパートナー」をコンセプトに据えて、「焙煎方法に加え、焙煎度合いにまでこだわり、目指すコクのある味わいを引き出すのに苦労した」という。
ローカロリー飲料にありがちな水ぽっさや物足りなさをなくし、同時にスタンダードタイプのような濃い甘さでもない。仕事中の、「午後の少し疲れたかな」というときに飲める、ほどよい甘さとコクをつくり出した。
日本コカ・コーラの場合、ターゲットの年齢やニーズに応じて、コーヒーの種類や砂糖、ミルクの分量を変えた「味のつくり込み」によって、「ジョージア ヨーロピアン微糖」のほか、「ウルトラ微糖」や「贅沢エスプレッソ微糖」など「微糖」のバリエーションを増やしている。こうした傾向は業界全体に広がりそうだ。
(データは、2009年食品マーケティング便覧)