JP「ゆうパック」受け入れ準備でコストアップ
日通が明らかにしているJPXPへの投資損失は38億円(09年4-9月期)。JPXPは10月1日の統合をめざしてきたため、人員や倉庫、車両などの配送体制を増強して、JPの「ゆうパック」事業の受け入れ体制を整えていた。
すでに、これらのコスト負担が重石になっており、現状のまま運営していくだけでも2010年3月期には損失が100億円前後に膨らむとの予測もある。事業を続ければ続けるほど赤字が膨らんでいくわけだ。
だからといって、元の鞘に納まることもむずかしい。宅配便業界はヤマトHDのシェアが38.7%、佐川急便が33.4%を占め、2社の寡占状態にある。第3位の日通(10.3%)と4位のJP(8.7%、いずれも08年度)が合流することで、2社に対抗するのが狙いだった。「ペリカン便」が日通の手元に戻ってきても、「いずれ上位2社のどちらかに吸収される」(証券エコノミスト)との見方が支配的だ。
日通が7月31日に発表した業績修正では、JPとの統合が延期されたことによって、JPXPの収支計画を把握できないため、2010年3月期の経常利益と当期純利益を合理的に予測することはできないのを理由に、未定とした。
しかし、岡三証券の予想では当期利益で14%減、経常利益は38%減を見込んでいる。同証券アナリストの宮本好久氏は「予想経常利益の悪化に歯止めがかからないことには、株価下落が止まらない」と、事態は深刻とみている。
日通は「一刻も早く経営統合を認めてもらいたいし、そのための手を、前向きに打っていく。破談のことは考えていない」と話し、JPとともにこれから政府への働きかけを強めていくという。