最近の動きは戦時中をほうふつさせる?
米投資誌がここまで日本に悲観的な記事を書くのは珍しいというが、日本の識者の間でも、国債の増発ぶりが最近話題になっている。
東大大学院経済学研究科の岩本康志教授は、自らのブログで2009年8月11日、国債のGDP比率が200%にも達したのは、戦時中以来だと述べた。そして、戦後のインフレによって国債が償還されたものの、石油ショック以降、再び景気対策のため比率が上がり続けているとグラフで指摘。最近の動きは戦時中をほうふつさせるとして、これを「景気との戦争」と表現している。しかし、戦時経済とは状況が違い、インフレが必然的に起こるとは限らないと警告している。
国際金融アナリストの枝川二郎さんは、バロンズの記事は、とりたてて驚くほどではないとの見方だ。
「国債は、急激にではなくずっと増えてきたわけです。デフォルトがあったら大変なことですが、日本人が主に買っているので、何かあっても日本人の責任という見方が強い。また、日本では、個人資産がたくさんあるので大丈夫との考え方もあるようです」
国債増発は、欧米でも同様で、リーマンショック以降、各国は景気刺激のため財政出動を繰り返してきている。ただ、枝川さんは、バロンズが指摘したのには、民主党政権の誕生で懸念材料が増えたことがあるのではないかとみている。
「民主党は、金も出すが増税もしない方向を打ち出しています。世界の常識からすれば、そんな中でこの負債額は大丈夫なのかとの認識があるのでしょう。自民党からは『小さな政府論』も出てきたことですし、日本でもこの問題をもっと議論していく必要がありますね」