大手スーパーなどから仕入原価の引き下げを迫られる食品メーカーが、スーパーなどの小売業者を通さず、インターネットなどを使った直接販売に乗り出す動きが広がってきた。ネット販売なら自ら価格を設定し、一定の収益を確保できるためだ。
コンビニ弁当の倍以上の価格で売る
ハウス食品は2009年10月1日から、通信販売限定でダイエット食品の詰め合わせを販売する。大豆などを使ってカロリーを抑えたレトルトカレー、親子丼、肉じゃがなどの主菜や、ビスケット、粉末ドリンクなど栄養バランスを考えた1日2食、2週間分の食事のセット(計28食分)が入って、通常価格は1万9600円。1食当たり700円の計算だ。
購入者には、専門の栄養士が電話でダイエット相談に応じるサービスを無料で提供する。同社は「1日の食事のうち2回をこの商品に代えれば、1週間で0.6kg~0.8kgの減量効果が見込める」と宣伝する。
09年5月から「低カロリー」を前面に出した冷凍弁当のネット通販を始めたのは、冷凍食品大手のニチレイだ。1食当たりの値段は840円。400円前後が売れ筋とされるコンビニ弁当の倍以上だが、同社は「健康に関心のある高齢者世帯などから注文が徐々に増えている」と話す。
サントリーは99年からネット販売を実施している。扱っているのは、健康食品や量販店などに出荷していないウイスキー、ワインなどの特定品だが、「販売額は年々増えている」と話す。サッポロビールは2010年1月から菓子メーカーとチョコレート風味の発泡酒のネット限定で販売する。