日韓のメディアは正雲氏のポストすら分かっていない
一方、これとまったく逆の動きも伝えられている。韓国の聯合ニュースは、09年7月頃から、平壌の一般家庭向け有線放送で、正雲氏の実名を挙げて、正雲氏の能力の高さを称える宣伝を行っていると報道。09年7月は、前出のNHKの報道によると、「正雲氏が軍の人事に介入した」とされている時期で、2つの報道は食い違いを見せている形だ。
コリア・レポートの辺真一編集長は、「親子不仲説」について「韓国サイドから似たような情報が流れていた」としながらも、信憑性については懐疑的な見方だ。
「『パルコルム』が歌われなくなったとのことですが、これは間違いです。8月14日から20日にかけて日本人ジャーナリストが平壌を訪れて、実際に歌われている様子をビデオに収録しています。そもそも、日韓のメディアは、正雲氏が、どんなポストにいるのかすら分かっていません。そんな状況で、26歳の正雲氏が軍の人事を動かせるなんて考えられません。実際、『人事に介入した』と言っても、『誰を、どのポストからどのポストに異動させた』といったことまでは、誰も分かりません」
では、やはり「後継者は正雲氏」ということで間違いないのだろうか。辺編集長は、
「(後継報道を否定した)金永南氏のインタビューについても、額面通り受け止めるべきではありません。朝鮮労働党が何も言っていない段階で、西側メディアに対して事実を認めるはずがありません。現段階では(後継は正雲氏だということで)『内定』段階でしょうが、正式に決定するまでには、党大会を開くなどの様々な手続きが必要です」
と、正式発表には、もう少し時間がかかるということのようだ。