雑誌主力のビジネスモデルは破たん
業界の動向に詳しい出版関係者は、他社でも多メディア展開はあるとして、角川グループの違いをこう解説する。
「普通の出版社は、ヒットしてから考えます。しかし、角川は、最初からクロスメディアの立場で出版物を企画しています。戦略的なビジネスをしており、それが強みですね」
また、この関係者は、一般受けするものからではなく、まずオタク系、アキバ系から始める点も違うと言う。
「3~5万人のオタク層に受けて関連商品が売れ、それが回りに知られるようになって大きくなっていくわけです。ユーチューブへの投稿も認めたものならOKを出しており、メディアを上手に使っていこうという柔軟な考え方がありますね」
一方、他の大手出版社は、本の赤字を雑誌の稼ぎで埋めていたが、こうしたビジネスモデルも破たんしつつある。雑誌が売れなくなっており、主力だった女性誌は、「CanCam」(小学館)を始め、販売部数が1年で2割強も減るケースが出ている。クライアント寄りの雑誌作りが、時代のニーズに合わなくなったとも指摘されている。
もっとも、情報を得る手段がネットに移るなどして、出版そのものが地盤沈下している。雑誌や本の市場規模が、10年前より2割以上も小さくなっているのだ。
前出の出版関係者は、こうした状況は角川グループも無関係とはいえないと指摘する。
「紙媒体が後退しているのが、弱みでしょうね。だから、次々に他メディアの企業を買収しないといけないので、状況は厳しくなります」