自殺や他殺、火災などがあった不動産の「事故物件」を紹介するサイトが注目を集めている。俳優の押尾学被告が出入りし、女性の変死体がみつかった部屋も登録されるなど、首つり、死体遺棄といった物騒な「事故物件」が集められている。ところが、2009年9月21日の18時頃から閲覧が不可能になり、ネットで憶測を呼んでいる。
東京23区、武蔵野、横浜、川崎市内の物件
このサイトは「大島てる」という不動産会社が運営する「大島てる CAVEAT EMPTOR」。「事故物件」とは、不動産業界では一般的に所有権についての係争がある場合や死亡事故、所有者の倒産などがあった物件を言うが、このサイトでは「事故物件」を「殺人事件や火災による死亡事故等の、嫌悪すべき歴史的事実があった物件」と定義している。
扱っているのは東京23区と、武蔵野、横浜、川崎市内の情報。「事故物件」のある場所には地図に「炎」のようなアイコンがつき、事故のあった日付、建物名、部屋番号や、事件の概要が示される。首つり、撲殺、拳銃自殺、死体遺棄など、なんとも物騒なものが多い。
ネット上では、「自分の部屋が事故物件だったら。恐ろしくて調べられない!」「ひどい死に方をされてるとやっぱり嫌だなぁ」とする書き込みもあれば、 「事故物件歓迎。家賃安くなるし」「オカルトとか嫌いだから、こういうお得な物件を選ぼうと思った」「こういう情報、需要あるよね」と綴る人もいた。
「事故物件」かどうかの情報提供は有用
ある不動産関係者によると、宅地建物取引業法には「瑕疵(かし)担保責任」が定められており、自殺や他殺などの死亡事件や火災・水災害等があった「精神的(心理的)瑕疵」のある物件については、契約書を交わす前に「重要事項」として告知する責任が業者にはあるという。
こうした「精神的瑕疵」は受ける側の価値観・宗教観等により大きく変わるが、営業上は非常に不利になる要素だ。近隣住民に「聞き込み」をすれば事実は分かるが、物件を買う、借りる際にここまでやる人は少ない。実際に住んでみて初めて気づいた、というケースもあるようだ。また、
「例えば、売主、貸主側の人間がその物件にいったん居住し、前の居住者には『何事もなかった』と説明する。こうして事故物件であること自体を『抹消』する」
といった場合もあり、業者にとって「不利」な情報が閲覧できる、役に立つサイトともいえる。
しかし、9月21日18時頃からサイトが閲覧できなくなった。ネット上では、
「クレーム来たのかな」「どこかから圧力かかったな」
との憶測も出ていた。
J-CASTニュースがサイト運営者である「大島てる」に問い合わせると、運営者の「代理人」が取材に応じた。
「サーバー会社の説明では、相当数アクセスを試みている人がいるとのこと。アクセスが減れば、閲覧可能になると思う。どこからか圧力がかかったとか、そういうことはない」
サイトが閲覧不能なのは、ネットに話題になり、アクセスが集中して、サーバーに負荷がかかっているためらしい。
また、こうした情報を掲載している「理由」については、
「『事故物件』であるか否かといった、意思決定に影響する情報は、その物件を買ったり借りたりする人にとって、方角や駅からの距離などと同じく知らなければいけないもの。こうした情報の提供は有用だ」
と説明する。ちなみに情報源は「独自に取材している」とのことだった。