「出版ビジネスを発展させていきたい」
いずれにしろ、大日本印刷が大型書店を巻き込んでいく動きが相次いでいるが、その狙いは一体、何か。
大日本印刷の森野鉄治常務取締役は、「日経ビジネスオンライン」に掲載されたインタビュー(09年6月16日)で、同社の狙いについて「(大日本が)出版社へと企画を遡上させること」と述べている。書店という現場を重視して、消費者の声を直接、出版企画へ反映させたい、ということらしい。
大日本印刷広報はJ-CASTニュースに対し、「提携によって出版ビジネスを発展させていきたい」と語る。具体的には、書店の購入などを通じてわかるデータに分析を加え、消費者のニーズを出版社側に届けていきたい、という。出版社が市場を見て企画したり、商品を供給したりすることで、約4割ある返本率も減らせるのではないか、と見ている。この仕組みが業界の活性化につながる、とも期待する。
しかし、こうした動きについて、「(大日本印刷と大手書店とが)提携していくという事実だけは増えていきますが、では具体的にどうしていくのかが現段階ではまだまだ見えません。書店から消費者ニーズをくみ取るといっても、従来からやっていることだし」と懐疑的な業界関係者もいる。
なお、大日本印刷は書店以外にも、出版業界との提携が相次いでいる。08年2月には、図書館への図書販売などを手がける取次・図書館流通センターも子会社化した。09年5月8日には、婦人向け雑誌の老舗出版社「主婦の友社」の株式およそ39%を取得し、電子出版などの事業拡大に取り組んでいる。ほかに、09年5月13日には講談社、集英社、小学館とともに中古書籍販売のブックオフコーポレーションの株式を取得したことを発表し、話題となった。