鳩山由紀夫首相就任会見で、ネットメディアなどが締め出され、政権発足初日から「公約破り」が行われたことについて、専門家や識者から民主党や記者クラブを批判する声が続々と挙がっている。
池田信夫氏「内閣記者会は『何の権利もない団体』」
経済学者の池田信夫さんは2009年9月16日、コラムサイト「アゴラ」で「『記者クラブ開放』の約束は嘘なのか」という記事を更新した。「内閣記者会」の幹事社・共同通信が「首相会見に記者クラブ以外の媒体社が出席できるようにするには、規約を変えなければなりません」と話していることに対し、内閣記者会は首相官邸に「居候」しているだけの「何の権利もない団体」とし、
「本来は記者会見に誰を入れるのかを決めるのは官邸であり、クラブと『協議』する必要はなく、ましてクラブが拒否する権利もない」
と主張。また、記者会加盟社から出席している記者の9割以上は何も質問しないことを挙げ、「内閣記者会を解散し、普通の国のように政府がチェックして記者証を発行した記者はすべて参加できるようにすべきです」と提言している。
「記者クラブ開放」ブロック役は平野官房長官?
また、週刊朝日編集長の山口一臣さんも16日にブログ更新。総選挙が終わった直後から民主党と記者クラブの間で「熾烈な戦いが繰り広げられていた」と明かしている。
それによると、記者クラブを形成するメディアが民主党の各層に「新聞、テレビなどのメディアを敵に回すと政権が長く持ちませんよ」と働きかけを行っていたといい、そうした「既得権メディア」の意を受け、中心となって動いたのが藤井祐久財務相と平野博文官房長官だったという。特に平野氏は、取り巻きの記者に対して「『記者クラブ開放』は俺がツブす」とまで語っていたという。
また、社会学者の宮台真司さんも同日「民主党の重大な『公約破り』はじまる 許すまじ!」とのタイトルのブログを更新。
「平野官房長官、あんたに言っておこう。鳩山献金問題をメディア攻撃から防遏するには、記者クラブを使って統制したほうが好都合だと思ってるんだろうが、せこいんだよ」
と激怒。ホリエモンこと堀江貴文さんも、17日のブログで
「やつら記者クラブの連中にとってネットメディアは『糞』並みの扱いなんだよ。(中略)見下してんの。雑誌ならOKっていう神経がほんとありえない」
と綴っている。
内閣記者会「メディアの種類によって会見から締め出すつもりない」
日本ビデオニュース社や日本インターネット新聞社が加盟するインターネット報道協会は15日夜、官邸報道室と内閣記者会、民主党に首相就任会見出席要望書を送った。協会によると、官邸報道室からは、どこのメディアを入れるか入れないかは「報道室ではなく記者会が決めること」という返答があった。内閣記者会からは16日に返答があり、
「民主党からの要望にネットメディアは入っていなかった。インターネット報道協会からの出席要望を受けて会議を行ったが、セキュリティの問題等があり一日二日では決められない。記者クラブが閉鎖的であるという問題が指摘されていることは自覚しており、メディアの種類によって会見から締め出すというつもりはない。民主党からの連絡が遅れたことで混乱していることに関し、官邸を経由して党に抗議している」
というものだった。民主党からの返答は17日現在まだないという。