「週刊少年ジャンプ」で連載中の人気マンガ「SKET DANCE(スケット・ダンス)」に、ヘリウムガスをボンベから直接吸引する描写があり、これが危険だとしてネットで騒動になっている。ヘリウムガスは吸うと声が変に高くなるのがウケて、パーティーグッズとしても人気だが、ボンベから直接吸うと死に至る危険もあるようで、発行元の集英社に抗議しようという呼び掛けも起き、同社では「編集部の安全面での認識が不足していた」と陳謝した。
「学園祭シーズンだから真似をする人が出そう」
「スケット・ダンス」は学園コメディーマンガ。主人公達は学園のトラブルや生徒達の悩みを解決する「スケット団」を結成し、日々様々な困難に立ち向かう様子が描かれている。問題になっているのは2009年42号で、登場人物の胸くらいの高さのあるヘリウムガスボンベから、直接ホースで吸引する描写だ。
主人公の男子生徒「ボッスン」がヘリウムガスを吸い、高音の声を出して楽しんでいる姿を見た女性徒の「ヒメコ」が、自分もやりたいとボンベから伸びるホースを口にくわえる。「ボッスン」がボンベの栓を開けると大量のヘリウムガスが「ヒメコ」の口の中に流れる。このヘリウムガスは風船を膨らませるために持ち込まれたもののようで、ストーリーの終わりには大量の風船が空に舞っている。
こうした描写にネットの掲示板やブログには、ガスを体に入れるのは危険すぎるとし、
「これ下手したら窒息死しかねないんだが」
「学祭のシーズンだからヘリウム真似する奴出そう」
「ヘリウムの件は編集部に伝えたほうがいかもしれない」
といった批判のカキコミが大量に出た。さらに、発行元の集英社に抗議したと書いている人もいる。
風船に入ったヘリウムガスを吸うことも危険
ヘリウムガス卸販売のイツモ高圧(本社:日光市)によると、パーティーグッズとして売られているヘリウムガスはヘリウム80%、酸素20%の混合ガス。風船を膨らませるときなどに使われるボンベに入っているヘリウムガスは99.5%という純度の高いガスだそうだ。ヘリウムガス自体に毒性はなく不炎であり、作業で使う上では人体に影響がほとんどない気体なのだが、ボンベから直接ホースで吸った場合は単純窒息に陥り、最悪死に至ると説明する。
酸素と混合されている場合は別なのだが、ヘリウムガス単体だけを吸うと肺がヘリウムガスで満たされ、酸素が肺に入って行かなくなる。同社は、ヘリウムガスボンベから直接吸うだけでなく、夜店で売られているような風船に入っているヘリウムガスを吸うことも危険だ、と利用者に呼び掛けている。
集英社広報室では、J-CASTニュースの取材に対し、
「週刊少年ジャンプ42号『SKET DANCE』作中においてヘリウムガスをボンベより直接吸い込む描写がありました。 こうした行為は窒息事故を招く可能性があり大変危険です。読者の皆様は決して真似されないようお願い致します。編集部の認識不足によりこのような表現を掲載してしまったことを深く反省し、お詫び申し上げます」
とのコメントを寄せ、同誌公式ウェブサイトにも、9月16日20時になって、同趣旨の文章が掲載された。