亀井静香一転郵政相内定 民営化揺り戻しどこまで?

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   前日に防衛相に内定と報じられた国民新党の亀井静香代表が、急きょ郵政問題・金融担当相のポストに変更された。亀井代表と言えば、小泉刺客のホリエモンと争った民営化反対の旗頭だ。大幅な揺り戻しは避けられないのか。

日本郵政社長に、早くも辞任促す

「『衆院を解散するかも』とどう喝され(郵政民営化法案を)成立させるようなことがあれば、国会議員は末代まで恥をさらすことになる」
「特定郵便局長会は裏切った議員を支持しない。(落選させて)葬り去る力だけはある」
「私が落選するなら仕方がない。その結果、郵便局が残るならば相打ちだ」

   これらは、亀井静香代表が2005年の郵政選挙前に、テレビ番組などで語った言葉だ。

   それほど民営化阻止に情熱を傾ける亀井代表が、2009年9月16日の内閣発足で郵政問題・金融担当相になることが内定。早くも、15日夕の会見で、民営化を進める日本郵政の西川善文社長に対し、「辞めてもらうのは当然の話。ご自身が判断したほうがいいだろう」などと辞任を促す発言をした。

   亀井代表は、当初は、郵政民営化を担当する総務相を希望していたが、14日夕に防衛相に内定したと報じられた。社民党と対立しがちなポストを国民新党に任せるのが狙いだったともいう。しかし、1日たって急転直下、総務相ではないがその一部の仕事を含んだポストに落ち着いた。

   その理由は、今ひとつはっきりしないが、民主党が地方分権を担当する総務相のポストにこだわっていたことから、郵政問題だけ切り離したのかもしれない。また、防衛相のポストを他党に渡すことは、海外から安全保障に対する姿勢を問われかねないとの指摘があっただけに、それに配慮したのだろうか。

改革姿勢の後退と受け止められ、日本株売りにつながる

   ただ、金融担当も含むキーポストだけに、景気や日本経済の行方に関心の強いマーケット関係者から戸惑いの声が上がっているようだ。

   ロイター通信の2009年9月15日付記事によると、ある国内証券ディーラーからは、「郵政改革は日本の構造改革の象徴であったため、後戻りするような政策になれば、海外勢からは改革姿勢の後退と受け止められ、日本株売りにつながりかねない」との指摘が出ているという。

   国際金融アナリストの枝川二郎さんは、警察官僚出身の亀井静香代表に、キーポストを任せることに疑問を呈する。

「亀井さんは、経済をあまり理解していない人ですね。素人には、その動きは難しくて、なかなか分からないのですよ」

   ある金融機関の役員からは、15日夕、「亀井さんでは、まったく困る」とのメールが来た。亀井代表がこの日の会見で、中小企業に対して3年ほど借金の元本返済を猶予するモラトリアムを導入するとしたが、この役員は、「すぐに中小企業に金を貸せと言い出すのでしょう。本当にそういうことが日本経済のためになるのか判断しているのでしょうか」と嘆いていた。

   枝川さんは、「まったく同感です」としたうえで、こう話す。

「(現金融担当相の)与謝野馨さんは、経済に理解があり、少なくとも愚かなことはやっていません。亀井さんが、郵政に対する理念を通そうと、目先の政治的なことばかり追い求めていると、世界の笑い者になるかもしれませんよ。民営化しない選択肢もありえますが、全体として経済をどう動かしていいか理解していない人がやると、本当に日本売りになるでしょうね」
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