書籍のネット通販で、配送料を無料にするケースが相次いでいる。ふつうは1500円以上の買い物で「送料無料」となる場合が多いが、アマゾンと楽天はキャンペーン中、それ未満の買い物でも無料となる。イーブックオフも条件付きで、1500円以下の購入でも無料とする仕組みを続けている。
指定金額を気にせず、買いやすくなった
アマゾンは2009年9月11日、「本全品配送料無料」キャンペーンを開始した。11月4日まで実施する。これまでは書籍の購入額が1500円未満の場合、配送料300円がかかっていたのを改めた。このキャンペーンでは本、漫画、洋書を対象とし、国内発送分に限る。注文内容に書籍が1冊以上含まれていれば、それ以外の商品の送料も無料になるという。
個人のブログでは「うわすげ。(略)これで文庫1冊でもすぐ買える。なんでこんなことができるんだ」、「文庫本1冊とかでも送料無料ってのはなかなかありがたい人も多いのでは」などと好評だ。送料がネックで、送料無料となる1500円にあわせるため、余分な買い物や必要な本があるまでは買い控えている、という利用者も多かったようだ。
楽天ブックスでは2009年2月からすでに、送料無料キャンペーンを実施している。本来は1か月の期間限定だったのが、好評のため11月4日まで延長したという。楽天ブックスでは本だけに限らず、雑誌、CD、DVDなど取扱商品すべてが対象となる。
楽天広報は、「キャンペーン実施期間中は新規会員が増え、リピート率もよかった」と話している。また、「指定金額を気にすることなく買い物ができるため、心理的なハードルが低くなったのでは」と分析する。
なお、楽天ブックスではページ内に、1週間に1度更新される著者インタビューや、月ごとに更新される雑誌編集長インタビューが記載されるなど、ページの見せ方を工夫している。広報では「本屋さんで本を選ぶのはふらふらと見て回れるのが楽しいから。ページ内でもそれに近い感じで、お買い物のヒントになれば」とアピールしている。
送料300円で購入をためらってしまう
一方、オンライン中古書店イーブックオフでは2009年10月1日まで、「ちょうど3点で送料無料キャンペーン」を実施している。商品3点を買い上げれば、送料が無料になる企画で、対象は「単行本」以外の商品だ。イーブックオフは通常、購入金額1500円以上で送料無料。それ未満の場合は送料300円がかかる。
イーブックオフでは、中古の書籍やCD・DVD、ゲームなどを扱っている。文庫本やコミックスは1冊200~300円程度だ。そこに送料300円、すなわち中古本1冊分の値段が加算されると、消費者心理としては購入をためらってしまう。そこで、この企画が2年前からはじまる。好評なので、キャンペーンはずっと延長が続いている。サイトを運営するネットオフの広報は、こう話す。
「ユーザー情報を見ていきましたら、3品程度、購入する人が多かったんです。そんなこともあって、無料キャンペーンに結びつきました」