経団連・御手洗会長国会喚問の現実味 民主政権で財界首脳も「チェンジ」? 

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   民主党が政権交代を果たし、財界も政治との関係を見直す必要に迫られている。ところが、御手洗冨士夫会長率いる日本経団連はこれまで、あまりに自民党に肩入れしすぎていたため、民主党とのパイプづくりが思うようにいかない。最近では「御手洗会長の立場も危うい」との声まで出ている。

自民と民主、政治献金で28億円もの「差」

   長年にわたり、自民党との関係を重視してきた日本経団連。奥田碵前会長(トヨタ自動車)時代には一時、民主党とも勉強会や懇親会などを通じた付き合いがあったが、「小泉改革路線」に賛同した2005年の衆院選では自民党の単独支持を打ち出すなど、旗色を鮮明にした。

   経団連の「自民支持」は政治献金にも表れていて、07年の会員企業の政治献金額は、自民党向けが約29億1000万円にも上った。その半面、民主党は約8000万円しかなかった。

   会員企業は政党への献金を、経団連が毎年9月に明らかにする「政策評価」を目安に検討して決める。自民党の掲げる政策評価の多くが「A」なのに対して、民主党のそれは「B」や「C」の低評価だったことが政治献金の多寡になって表れた。

   たしかに、地球温暖化対策や消費税の引き上げなどの問題では、今でも民主党と大きな隔たりがある。とはいえ、さすがに28億円もの献金額の差に、民主党がおもしろくないのも無理からぬところではある。

   ちなみに、この9月に予定していた政策評価の公表は、民主党が政権をとったことで、改めて内容を慎重に検討するため、11月に遅らすことにした。

国会喚問なら自ら辞任しかない?

   日本経団連と民主党との仲がこじれた原因について、ある財界関係者は「御手洗会長が安倍元首相に入れあげたこと」と「キヤノンの偽装請負問題」にあるとみている。

   「米国で23年過ごした経験のある御手洗氏は、日本人の愛国心の薄さを憂いでいた。そこに『愛国』を掲げた安倍首相が登場し、強く共感。それをきっかけに、ふたりは入魂の間柄になっていった。安倍首相の後ろ盾もあって、御手洗氏は発言力を強めていった」と振り返る。

   さらに、民主党との不仲を決定づけたのは、御手洗会長が出身母体であるキヤノンの偽装請負問題だ。経団連の会長企業が率先したとなれば、雇用確保を経済政策の優先課題に掲げる民主党としては黙っていられない。

   偽装請負問題は07年末の当時、幹事長だった鳩山由紀夫代表が国会代表質問の場で、御手洗会長を参考人として召喚しようとした。このときは自民党がそれを阻止したが、民主党が政権をとったことで再び召喚される可能性がある。そうなると、自民党の応援がなくなったいま、御手洗会長は応じるしかない。

   前出の財界関係者は、「経団連に御手洗会長と民主党を取り成す財界人も見当たらないし、そもそも、そんな状況にない」と話す。リーマン・ショック後の世界的な景気悪化で、どの企業も業績不振に喘いでいて、自社のことで手いっぱい。ロビー活動を行っている余裕などないというのだ。

   経団連会長の国会喚問となると、これは大きな汚点だ。2010年6月の任期切れまで、経団連会長の座にとどまることはむずかしく、自ら「辞める」しかないかもしれない。御手洗会長にとって、いばらの道といえそうだ。

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