大和証券SMBC合弁解消 ほとぼりが冷めたころに復縁説も出る

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   三井住友フィナンシャルグループと大和証券グループ本社は法人向け証券会社「大和証券SMBC」の合弁を解消する方針を決めた。三井住友は日興グループ買収を機に大和SMBCの経営権も握ろうとしたが、これを嫌った大和が拒否し、10年に及んだ合弁に終止符を打つ。三井住友と大和は今後、独自の証券の再構築を目指すが、主導権争いの末の合弁解消は双方に痛手となりそうだ。

三井住友の出資比率引き上げを大和が拒む

   大和SMBCは大和が60%、旧住友銀行が40%出資して1999年に設立。1997年の山一証券破綻で証券業界が経営不安に陥り、旧住友が大和の信用を補完する狙いもあった。だが、大和SMBCは、三井住友が紹介した取引先企業の株式・債券の引き受けなどの業務を展開。三井住友は「我々の顧客基盤で得た利益が大和本体に流れ込んでいる」との不満を募らせ、三井住友の出資比率引き上げを求めてきたが、大和は一貫して拒んできた。

   ところが、三井住友は2009年5月、金融危機で経営難に陥った米シティグループから個人向けの日興コーディアル証券と法人向けの日興シティグループ証券の買収を決め、情勢が動き出す。三井住友銀行の奥正之頭取は「大和SMBCと日興法人部門の統合は有力な選択肢」と発言。三井住友は10年来の念願を果たそうと、統合後の出資比率を50%超に引き上げることを求め、大和と交渉に入った。

   大和も統合自体は検討する構えを示したが、三井住友に呑みこまれることを恐れ、「出資比率の見直しは必要ない」(鈴木茂晴・大和社長)と強く反発した。三井住友は「合弁を解消すれば、大和は顧客基盤を失い、ウチよりダメージが大きい」と踏んで、譲歩を迫ったが、大和は「大和SMBCがあるのに、日興を買収した三井住友は約束違反」と譲らなかった。三井住友が日興を子会社化する10月が目前に迫っても、溝は埋まらず、合弁解消を決断した。大和は三井住友が保有する大和SMBC株をすべて買い取り、大和SMBCを100%子会社化する方針だ。

市場では「両社にマイナス」と受け止め

   今回の事態は市場で「両社にマイナス」と受け止められた。大和社内には「独立系になれば、三井住友グループ以外の企業との取引拡大も狙える」との強気の声もある。だが、独立系で国内最大手の野村ホールディングスが破綻したリーマン・ブラザーズのアジア・太平洋部門を買収するなど業界再編は活発。「大和は三井住友の顧客基盤と信用力の後ろ盾がなくなり、格付けや資金調達コストにも響が出る」と危ぶむ見方も出ている。

   一方、三井住友はメガバンクで出遅れていた証券戦略をばん回するため、日興買収に踏み切り、大和SMBCとの統合を踏み台に大和証券グループ本社も傘下に収め、野村に対抗できる「大連合」も模索していた。だが、合弁解消で「大連合」構想は崩壊。シティグループとの業務提携を強化し、日興法人部門を育てる考えだが、大和SMBCに比べると劣勢は明らかだ。このため、「けんか別れのほとぼりが冷めたころに両社は復縁せざるをえないのでは」との憶測も流れている。

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