「勝間和代を目指さない幸せ」 反「カツマー」本が30万部突破

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   経済評論家で公認会計士の勝間和代さん(40)のようになりたいと思って努力を重ね、成功を目指す人は「カツマー」と呼ばれている。ところがみんながみんな、成功するとは限らない。「勝間和代を目指さないほうが幸せ」と説いた本も登場し、30万部を突破するベストセラーになっている。

押切もえ「私もすっかりカツマーです!」

   ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)大手の「ミクシィ(mixi)」には、「カツマー学校」「カツマー女子部」「ワーキングママ カツマー会」「関西カツマー読書会」といった熱心な「カツマー」が集まるコミュニティがいくつもある。

   1635人が登録している「カツマー学校」には、テーマ別にプロジェクトチームが組まれている。ネット上で無料通話できる「スカイプ」を使った英語の勉強会、早朝読書会、毎朝5時の資格部、ITリテラシー部といろいろだ。

   芸能界にもカツマーの輪が広がっている。勝間さんの親友として知られている歌手の広瀬香美さんは、勝間さんに誘われて「ツイッター」を始めるなどの影響を受けている。

   モデルの押切もえさんは、ウエブ「アエラ」の2009年3月27日のコラムで、「私もすっかりカツマーです!」と宣言。以前から勝間本を読んでいたが、ラジオ番組で共演したことをきっかけに、一緒にごはんを食べに行く仲になったそうだ。勝間さんと話していると、「自分が本当にやりたいこともはっきり見えて、ぱっと道が開けるような感じでした」といっている。

   勝間さんに憧れ、努力すれば成功すると思っているカツマー。

   一方、「勝間和代を目指さないほうが幸せ」と真っ向から反論しているのが、精神科医の香山リカさんだ。香山さんの著書『しがみつかない生き方 「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール』(幻冬舎、09年7月30日発行)は、紀伊國屋書店新書週間ベストセラー(8月31日~9月6日)で1位、オリコン書籍総合週間ランキング(9月14日付け)で4位にランクインした。9月現在の発行部数は31万2000部にのぼる。紀伊國屋書店で購入したお客の7割が女性で、30~40歳代が全体の半数を占める。

努力できない人、思った通りの結果にならない人もいる

   香山さんは本の中で、

「努力をしたくても、そもそもそうできない状況の人がいる。あるいは、努力をしても、すべての人が思った通りの結果にたどり着くわけではない」

とした上で、最近、そう考える人が減っていると指摘する。

   人生が思い通りになっていない人の多くは努力が足りないわけではなく、病気になったり、勤めた会社が倒産したりという「不運な人」か、家庭環境などに恵まれず「努力できる状態になかった」という場合が多い。

   成功している人も一歩間違えば、恵まれない状況だったかもしれない。にもかかわらず、成功者もそうでない人も、「失敗することなんてない、失敗する人は本人のせい」と強く思い続ければ、神経症など病的な状態に追い込まれてしまう、と警告している。

   カツマーになって失敗したという人もいるようだ。

   日刊ゲンダイは09年9月11日付けの紙面で、「カツマーになって身も心もボロボロです」という男女を紹介している。

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