「課題」をクリアできたときの達成感も魅力
クライミングやボルダリングに詳しい、山と渓谷社「Rock&Snow」の編集長・萩原浩司さんは、「ボルダリングにはこれといった道具はほとんどなく、体一つではじめられる手軽さがうけているのでは」と話す。
クライミングジムの壁には、「ホールド」と呼ばれる突起が無数に設置されている。この突起をつかんだり、足をかけたりして壁を移動していくのだ。ただ、その際必ず、「課題」が課せられる。「課題」とはゴールするまでに使ってもよい突起を示すもので、色や形で区別したテープで識別されている。たとえば、●なら●だけの突起をつかみ、■なら■だけをつかんで移動する、という具合だ。萩原さんは、こう説明を加える。
「つまり、決められたホールドを使って移動するわけです。適当につかんで、のぼるだけのスポーツではないんです。そして、ここが面白いところ。ジムには通常、10級から『課題』が設定されています。初心者にとっての課題、ベテランにとっての課題とあって難易度がそれぞれに違う。より難しい課題に取り組もうとすると、飽きることがありません」
そして、「課題」をクリアできたときの達成感はまた、ボルダリングの魅力という。
「ボルダリングは体力だけでなく、頭も使います。というのは、体の動かし方を考えるのです。どうやって足を運べばよいか、手はどこに置くと体を動かしやすいか――試行錯誤が必要。それをクリアしたときは、達成感を感じます。ちなみに、技術を磨くには何より、ジムに通い詰めること。体で覚えることが上達の近道です」