強まる「楽天」色 会員制で顧客囲い込み
とはいえ、これまで安い手数料を「売り」に口座数を伸ばしてきただけに、影響がでる心配もある。ただ実際は、振込手数料の有料化と同時に、サービス提供がはじまる「イーバンク銀行ハッピープログラム」で利用者を「救済」。マイナス・イメージをやわらげる。
このプログラムは、イーバンクに口座を持ち、楽天グループのサービスを簡単に利用できる「楽天会員リンク」の登録がある人が対象。預かり資産の残高やtoto、公営競技の決済サービスの利用などの取引内容のレベルに応じて振込手数料やATM利用手数料を無料にする。
たとえば、「スーパーVIP」の人は振込手数料が月10回まで無料。「エントリー」ランクの人は月1回、「ビギナー」の人は3回まで無料になるといった具合。会員制にすることで、顧客を囲い込む狙いがある。
イーバンク銀行の2009年3月期の最終赤字は348億円に上った。前年同期と比べて、赤字幅は拡大。楽天の傘下で新たなスタートをきり、「楽天」色を強めることで生き残りを図っている。
09年4月からは、楽天クレジットが手がけてきたカードローンの一部を同行に移して、個人向けカードローン「マイワン」の取り扱いを開始。7月からは、クレジットカード機能付きのキャッシュカード「楽天イーバンクカード」の募集を開始した。
その一方で、10万円以上の預金残高がある人はキャッシュカードの発行手数料が無料だったが、それを有料化。10月からは「楽天キャッシュ」の換金手数料を5%から10%に引き上げるなど、矢継ぎ早に手を打っている。
どれも楽天主導のようにみえるが、今回の手数料改定についてイーバンク銀行は、「楽天の傘下になったことの影響はない」と否定している。