鶏や豚のコラーゲンをスープに使った「コラーゲン鍋」が女性の間で人気沸騰中だ。プルプル美肌への「期待」に加え、疲労回復を助けるともいわれ、最近は男性の注目も高まっている。家庭で簡単にコラーゲン鍋を楽しめる商品もいろいろ登場、2009年の鍋の定番となりそうな勢いだ。
コラーゲン入りラーメンも登場
コラーゲン鍋のブームの火付け役になったのが、コラーゲン鍋店「(汁)ハレノヒ」だ。06年に中目黒本店をオープンし、西麻布、二子玉川にも店を構える。芸能人が通っていることでも有名だ。
看板メニューは自家製コラーゲンを使った「ビューティ鍋」。鶏がらなどを7~8時間かけて煮込んだコラーゲンたっぷりのスープに、肉や野菜を入れて食べる。コラーゲン自体に味はなく、スープは鶏がらの味がする。「美肌になれる」「ヘルシー」と女性に大人気だ。ビューティ鍋を注文するお客の9割が女性だが、最近は男性にもコラーゲン鍋への注目が高まっている。
店舗を運営するノスプロダクター(東京都港区)の広報担当者は、
「コラーゲンはタンパク質の一種なので、美肌のほかに、疲労回復やなんこつのすり減りによる膝の痛みの緩和などタンパク質が足りない部分をサポートしてくれます。男性のスポーツ選手もよくいらっしゃっていますよ。また、コラーゲンを吸収する際にビタミンCが欠かせないため、たくさんの野菜を入れています」
といっている。
男性客にはコラーゲン入りの辛味噌ベースのもつ鍋「ビースト鍋」が人気だ。また、コラーゲン入りのラーメンが09年9月11日に登場。ビューティ鍋のスープに鶏肉、トマトなど入っている。コラーゲンのジュレとレモン汁が別添えになっていて、スープに溶かして食べる。
コラーゲン鍋を扱っているレストランは全国にあり、グルメ情報サイト「ぐるなび」で検索すると369件がヒットする(09年8月現在)。
また、ぐるなびが加盟404店に行ったアンケートによると、「今年メニュー化を考えている鍋」の1位は「コラーゲン鍋」(33.4%)となり、外食での注目度も高い。2位「蒸し鍋」(26.5%)、3位「カレー鍋」(13.9%)、4位「ブイヤベース」(11.9%)、5位「火鍋」(8.2%)と続いた。アンケートは 09年8月20日~8月25日に実施、9月7日に発表した。
家庭で簡単にコラーゲン鍋を楽しめる商品もたくさん登場
家庭で簡単にコラーゲン鍋を楽しめる商品も、たくさん登場している。
エバラ食品はパウチタイプの「コラーゲン鍋の素」を発売中だ。鶏のコラーゲンを6000mg配合し、ほんのりと姜を効かせて食べやすくした。08年8月に発売した3品の中でもっとも売れたのはコラーゲン鍋の素だった。
広報担当者は、
「小売りでの取り扱いが08年よりも増えています。鍋シーズンの10月から2月に向けて、08年を上回る売上げが期待できそうです」
と話している。
09年8月から濃縮タイプのコラーゲン鍋の素と、いろんな料理に入れられる固形のコラーゲンを販売している。
においの少ない鶏由来のコラーゲン3000mgが入ったゼリー状の「コラーゲン玉」を発売しているのは日本ハムだ。鍋のほかに、カレー、味噌汁、餃子にも使えて、味にコクが出ると人気だ。08年9月に発売し、6カ月での売上げが希望小売価格ベースで2億円を突破した。広報担当者は、健康志向の高まりやアンチエイジングブームで09年もニーズが高まりそうだ、とみている。
永谷園も、生姜35gと豚由来のコラーゲンが4000mg入った「生姜コラーゲン鍋」を09年8月から発売している。体を温める効果のある生姜に女性に人気のコラーゲンを加えることで付加価値を高め、女性客を取り込む。
ところで、「コラーゲン鍋を食べると美肌になる」というのは本当なのだろうか。エバラ食品広報担当者は、
「食品なので、美肌になるという効果はうたえません。また、一般的には食事に含まれるコラーゲンは、すべてを吸収することはできないと言われています。効果がどうというよりも、コラーゲン鍋を楽しんで食べていただきたいと思っています」
といっている。