公営住宅「未納金」は664億円 役所の取り立て甘くないか

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   市営住宅と都営住宅で家賃の未納が相次ぎ、未納金は増加の一途を辿っている。国土交通省の2007年のデータによると、全国の市営住宅に県営住宅と都営住宅を含めた公営住宅の未納金は664億1360万円にもなる。多くが退去している人の分で、引っ越して住所がわからず、回収できないというのが役所の言い訳だ。しかし、これだけ多いのは、取り立てが甘いからではないか。

退去者には催告状を送付しているだけ

   J-CASTニュースが12の政令指定都市に市営住宅の2008年度家賃回収率を聞いたところ、仙台市98.1%、さいたま市96.6 %、千葉市95.1%、横浜市98.06%、川崎市95.95%、新潟市98.30%、大阪市99.05%、堺市94.36%、神戸市99.26%、岡山市96.09%、広島市97.9%、福岡市98.05%だった。

   これだけをみると家賃の回収はうまくいっているようだが、過去の未納分を合わせた回収率はだいぶ違う。仙台市85.4%、さいたま市87.3 %、千葉市76.8%、横浜市91.72%、川崎市83.53%、新潟市92.36%、大阪市92.06%、堺市77.49%、神戸市95.48%、岡山市64.07%、広島市87.1%、福岡市95.35%などで、過去の分はなかなか取れず、未納金は年々、膨らんでいる。

   国土交通省住宅整備課によると、全国の市営住宅、県営住宅、都営住宅を含めた全公営住宅の未納金は664億1360万円にもなる(07年度末時点)。このうち政令指定都市の市営住宅未納金は88億2813万3000円。それ以外の市営住宅は319億1904万3000円。

   未納金は一定期間が経過すると「時効」扱いで欠損処理されることから、実際はさらに多いと推測できる。また、「時効」扱いの期間は自治体によってばらつきがある。

   岡山市が回収できなかった未納金は08年度末時点で4億3105万円にのぼる。 市住宅課の担当者は、

「ほとんどが退去していて、現住所がわからない人もいます。退去者の徴収まで手が回っていないのが現状です」

と明かす。

   千葉市は08年度の未納金(見込み)は現年度と過年度を合わせて4億8447万円。このうち1億6800万円分がすでに退去している。千葉市は手が負えない滞納者について、民間の債権回収業者に委託することを検討中だ。

   市住宅整備課の担当者は、

「千葉県外に出ている人もいて、はるばる現地に行っても本人に会えるかわかりません。回収しないといけないという問題意識は以前からありましたが、どうしたらいいものかと手をこまねいていました」

といっている。

「怠惰だと言われればそうなります」

   都営住宅の未納金は08年度時点で28億5000万円だった。東京都都市整備局の担当者は、

「公平さを図っていかなければならないとの考えから、入居者には督促を強化し、退去者についても住民票で新しい住所を調べて催告書を送っています。遠くに引っ越した人や住所が不明な場合は徴収するのが難しい状況ですが、財産があると判明すれば法的措置を取ります。積極的に対応しているので、滞納額は年々減ってきています」

と話している。

   大阪市が回収しそびれた金額は08年時点で25億6000万円。市都市整備局住宅課の担当者は、100%回収できなければ運営に支障が出るものではないと説明する。しかし大阪市の収入が減ったということには違いない。これについて担当者は、

「取るべきものを回収できていませんから、怠惰だと言われればそうなります」

と認めている。

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