安価なコンサル料が「売り」インフル再流行で「伸びる」
こうした中で、大手損保系のコンサルティング会社が手がける感染症対策支援サービスが注目されている。感染症が拡大したとき、誰が、どの業務をどのように継続するのかをマニュアル化し、あわせて従業員やその家族への啓蒙、教育するサービスをひとまとめにした。通常であれば数百万円はかかるコンサル料が「100万円」と安価なのも「売り」だ。
三井住友海上グループのインターリスク総研などは8月から、契約後1か月足らずで対策を講じる「新型インフルエンザ対策支援パッケージ」を取り扱っている。現在、国内大手グループ企業との契約に向けて交渉中。「1日に20~30件の相談が持ち込まれていて、中小企業からの引き合いも多い」という。最近は「感染者が出たら、どうしたらよいか」といった具体的な相談が増えているそうだ。
東京海上日動リスクコンサルティングの「新型インフルエンザ対策 100万円パック」は、5月にサービスを開始。「春先の流行から一たん下火になったことで落ち着いていましたが、感染者の拡大とともに、1日数件の照会が毎日コンスタントに入っています」という。
「100万円パック」以外でも、08年秋に発行した「対策ハンドブック」は在庫切れで、現在増刷中。従業員とその家族への啓蒙用として、この7月に作成した「新型インフルエンザ啓発小冊子」も、5000部、7000部とまとめ買いしていく企業が現れた。
同社が監修したDVD「新型インフルエンザ対策 私たちがしなければならないこと」は、7月の発売以降これまでに600セットを販売。製作したPHP研究所は「企業向けの教材用DVDとしては好調な出足で、日を追って伸びています」と話す。
「これまではマスクや消毒液の備蓄といった感染症への危機管理に比重が置かれていました。BCPの部分は、大企業でも7、8月の再流行で、ようやく取り組み始めたところです」(東京海上日動リスクコンサル)と、まだ緒についたばかりだ。