日本一高原キャベツの嬬恋村 財政「イエローカード」のなぜ

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   日本一のキャベツの生産地として有名な群馬県の嬬恋村が、財政破綻状態の「財政再生団体」の一歩手前の状態にあたる「早期健全化団体」に転落した。収入に占める借金(公債費)返済の割合が一定の水準を超えたための措置だが、主な産業である農業も観光業も、大きな落ち込みを見せている訳ではない。「イエローカード」を突きつけられてしまった嬬恋村だが、何故こんなことになってしまったのか。

年間収入の4分の1が借金利払いや元本返済に消える

   2009年4月に施行された「自治体財政健全化法」では、地方自治体の財政の健全さを判断するための4つの指標があり、そのひとつが、借金返済の負担の重さを占める「実質公債費比率」。過去3年の平均値が25%以上になると「早期健全化団体」に、35%以上になると「財政再生団体」に指定される。国の管理下に入る「財政再生団体」が「レッドカード」だとすれば、「早期健全化団体」は「イエローカード」の位置づけだ。

   日本経済新聞の調べによると、08年度決算を踏まえると、財政破綻した北海道の夕張市が「財政再生団体」に、全国17の自治体が「早期健全化団体」に転落する見通しだ。このうちのひとつに、嬬恋村が含まれる。09年9月2日の村議会9月定例会で、「転落」したことが報告された。

   嬬恋村の「実質公債費比率」は、06年度と07年度が27.8%、08年度が24.5%で、平均が26.7%。つまり、年間収入の4分の1が、借金の利払いや元本の返済に消えている計算だ。

   村の統計を見る限りでは、高原野菜の収穫量や観光客数は、ほぼ「横ばい」の状態が続いている。基幹産業は磐石に見えるにもかかわらず、何故、財政は悪化してしまったのか。

村税収入がわずか6年で3割も減少

   村側の説明によると、税収の減少が原因のひとつだ。村の歳入のうち、およそ3割を村税が占めているのだが、00年頃までは約24億円で推移していた村税収入が、06年には17億円にまで減少。わずか6年で3割も減少している。景気の全般的な低迷が個人や法人の所得を押し下げたほか、固定資産税の評価額下落も、その原因だとしている。それ以外にも、国営農地開発事業への負担金や、スキー場事業での借り入れが、村の財政に悪影響を与えたようだ。

   「早期健全化団体」に転落すると、財政健全化計画の策定と住民への公表、また国・県へ進捗状況の報告、外部監査が義務付けられる。その結果、起債の制限や公共料金の値上げを迫られる可能性も出てくる。

   実は、嬬恋村では、すでに「転落」を見越し、08年9月の段階で「第二次財政健全化計画」を策定。健全化計画の中には、(1)職員数削減や賃金の引き下げを行う(2)投資的事業を抑制する(3)使われていない村所有の不動産を貸し出し・売却する(4)公共施設の管理運営を出来るだけ民間に委託する、といった対策が盛り込まれており、実際に取り組みが進んでいる。嬬恋村の企画財政課では、

「08年度の実質公債費比率についても、08年9月に『健全化計画』の時点で想定していたよりも低い数値になっています。09年度決算では、25%を下回るはず」

と話しており、早期に「早期健全化団体」から抜け出したい考えだ。

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