学校教育に「民間の知恵」導入 教育の「ガラパゴス化」避けろ
インタビュー「若者を棄てない政治」第16回<最終回>/日本教育再興連盟事務局長・吉山勇樹さん

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地域も一体となった教育が「再興」のカギ

――「教育再興」に取り組む吉山さんから見て、いまの日本の教育の問題はどこにあるでしょうか?

吉山 いろいろな問題があって優先順位をつけるのはむずかしいですが、一ついえるのは、先生の立場の低下だと思います。先生と呼ばれる職業は、弁護士や医者や政治家などいろいろありますが、学校の教師というポジションはちょっと低くみられがちではないかと思うんですね。

   先生に対して暴言をはく生徒がいたり、モンスターペアレンツがいたりして、先生を先生と扱わないという現象が起きてしまっている。その一方で、かつてだったら親や地域が役割を負っていた子供のしつけという部分も、学校の先生に押し付けられるようになってきていて、先生が全部抱え込まなくてはいけなくなっています。

――そのような問題には、どのような解決策があるでしょう?

吉山 マスコミでも話題になった杉並区の和田中学校の「地域本部」というのが参考になると思います。再興連盟の発起人の一人でもある元和田中学校長の藤原和博さんがこの体制を作ったんですが、それまでPTAといわれていた組織を地域本部という名前に変えて、役割も大きく広げました。

   地域本部が中心になって、土曜日に学生ボランティアによる寺子屋授業(ドテラ)を開いたり、平日の夜に地元の塾と一緒になって授業を行ったりして、地域全体で学力支援を進めていく取り組みです。居場所委員会というものもあって、親が共働きの子どもなどのために居場所をつくるとか。こういうように、地域も一緒になって教育を作っていくことが大事なんじゃないかなと思うんですね。

――和田中学校はDSを使った授業をいち早く取り入れるなど、「民間の知恵の導入」ということで話題になりました。

吉山 民間の知恵を学校教育の現場に入れていくことは、間違いなく必要なことだと思います。再興連盟でも、いろんな企業に協賛という形で教材を提供してもらったり、ノウハウを提供してもらったりと、さまざまな民間企業に参画してもらっています。教育現場だけで一つのクローズドな世界になってしまうと、いわゆる「ガラパゴス化」が起きてします。やはり「いいものはいい」という精神で、民間のエッセンスをどんどん取り入れていくことが必要だろうと思います。

――民間企業と同じように、学校間にも「競争原理」を導入したほうがいいという意見もあります。

吉山 個人的には、絶対にやったほうがいいと思いますね。そうしないことには堕落してしまうというか、競争のないところには成長がないんです。学校が競い合っていくことで「いい授業」が評価されることにつながるだろうし、日本は資本主義ですから、子どもに社会を触れさせるという意味でも、ある程度必要ではないか、と。いまは学校や親が敏感になりすぎている部分もあるんじゃないかと思います。

吉山 勇樹さん プロフィール
よしやま ゆうき 1980年生まれ。(株)ハイブリッドコンサルティング代表取締役CEO。年間200日以上の企業研修や、業務改善・新規事業コンサルティングを多数手がける。同時にNPO法人日本教育再興連盟では陰山英男氏らとともに教育のベストプラクティスの収集と普及に努める。『残業ゼロ時代のサバイバル仕事術』(講談社)などビジネス関係の著書多数。

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