「高校の無償化」や「大学奨学金の拡充」を掲げた民主党が衆院選に勝ち、教育分野への経済的支援は手厚くなる可能性がでてきた。しかし学力低下や学級崩壊など「教育の質」の問題解決のためにはそれでは足りない。では、どうすればよいのか。官民が協力して教育を立て直そうと活動するNPO法人・日本教育再興連盟の事務局長、吉山勇樹さん(29歳)に聞いた。
「教育のベストプラクティス」を集めて、伝播する
「1歩とか0.5歩でいいので、まず前に出るということが大事」という吉山勇樹さん
――日本教育再興連盟というのはどんな団体ですか?
吉山 「教育再興」という名のとおり「教育を再び興していこう」と、学校関係者や民間企業、保護者らが一緒になって取り組んでいる組織です。「教育のベストプラクティス」を集めて、全国に広めるために活動しています。
特に力を入れているのが、毎年開いている「教育夏まつり」です。学校を一日借り切って、「教育見本市」を開催しています。たとえば3年1組では算数の百ます計算の授業をやって、3年2組は体育の逆上がりの授業をやってというように、さまざまな優れた授業を実際に見てもらいます。今年は体育の水泳授業で、オリンピックスイマーの長崎宏子さんに指導してもらいました。
――教育というのは、実際に現場で見聞きしないとわからないところがありますね。
吉山 授業の空気感を知るには、実際に見ていただくのが一番です。全国で実績を出している先生が集まって一斉に授業をするので、相当な「熱」が感じられます。参加する人たちは、現役教師から保護者、児童、大学生まで幅広いですが、誰もがインスパイアされて帰るということが多いですね。
――大学生が先生のサポートをする「学校ボランティア」という事業もあるそうですね。
吉山 夏まつりとかフォーラムなどのイベントを単発でやっても実際の教育は変わってこないところがありますから、草の根運動的に、大学生のボランティアが地域の学校に行って、授業をサポートするというプロジェクトもやっています。たとえば、理科実験のキットの準備を手伝ったり、ニンテンドーDSを使った授業で操作方法を教えてあげたりして、先生をサポートするんですね。