安易な「地方分権論」に疑問 「責任」も忘れないでほしい
インタビュー「若者を棄てない政治」第14回/NPOカタリバ代表・今村久美さん

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地域によってどの程度の分権化がいいのか、選択できれば

――このごろは「地方分権」が強くいわれていますが?

今村 「地方分権」は賛成です。ただ、地方に権限が委譲されたときに同時に責任も委譲するんだということがどれだけ理解されているのかは、ちょっと疑問です。政党のマニフェストをみても、「責任の委譲」ということははっきり書いていない。また、各党が言っているような予算的な分権がはじまらなくても実は、今すでにできることもたくさんあります。

――カタリバの活動を通して地方行政とのやり取りで感じることは?

今村 どこの地域でもカタリバを実施する際にネックになるのが、学校という「聖域」に先生以外の人が出入りするという、これまで非常識だとされてきたことを実行しなければいけない点です。なかには青森県のように積極的に学校教育の仕組みを変えていっているところもありますが、多くの県では「大切なことだとわかっているけど、自分たちの権限ではできない」となりがちです。

   行政・高校・大学のみんなが「縦割り社会」の中でそれぞれの役割に線引きをしているように見えます。生徒のために本来なにをすべきかではなく、役割範囲を優先しているのではないでしょうか。

――「縦割り行政」は、霞ヶ関の若手官僚のあいだでも最大の問題点として指摘されていることです。

今村 たしかに、すべての地域が自分たちの責任で改革をどんどん進めていけるわけではないというのも事実だと思います。自分たちで決めたいという地域もあれば、逆に中央に委ねたいという地域もあって当然でしょう。単純に、中央集権か地方分権かというのではなく、地域ごとに考えさせて、責任と権限の範囲を選択できるようにしておいて、その地域の歩くスピードにゆだねるべきではないでしょうか。

今村 久美さん プロフィール
いまむら くみ 1979年、岐阜県高山市生まれ、地元で保育園から高校生まですごした後、慶應大学湘南藤沢キャンパス(SFC)に入学。大学卒業後、アルバイトをしながらNPO「カタリバ」を竹野優花・現副代表とともに立ち上げる。2006年にNPO法人化。大学生が高校訪問をする「カタリ場」事業では 3500人のボランティアスタッフを抱える。

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