「選挙権は20歳から」。長らく日本では当然のこととして受け入れられてきたが、最近は海外の例にならって18歳に引き下げようという動きが進んでいる。しかし、若い世代の政治参加を後押しするには、もっと下げるべきだと考える若者もいる。「16歳選挙権」を提唱する市川市議会議員・高橋亮平さん(33歳)にその理由を聞いた。
「20歳選挙権」に論理的な根拠はない
「高校での生徒会活動が政治家になるきっかけだった」という高橋亮平さん
――高橋さんは2000年から選挙権年齢の引き下げに取り組んでいます。
高橋 大学時代に3人の仲間と「Rights(ライツ)」というNPO団体を立ち上げて、選挙権年齢を16歳まで引き下げることと、政治教育を充実させることを訴えてきました。若者の政治参加を進めるためにはこの2つが不可欠だと考えたからです。
――現行の選挙権は20歳となっています。
高橋 そもそも、なぜ選挙権が20歳なのかと考えてみると、実はあまり論理的な根拠はないんですね。日本の選挙関係の法律をみると、選挙権は20歳、被選挙権は25歳、参議院などの被選挙権は30歳。これは単純に5・10・15となんとなく切りのいい数字で区切っているにすぎません。
――では、なぜ「16歳」なのでしょうか?
高橋 選挙権というのは権利ですから、本来はできるだけ幅広い人に与えられるべきです。そこで、どこまで年齢を下げられるのかと議論したところ、社会参加のための教育をしっかり受けた年齢にあわせるべきじゃないか、と。
日本では義務教育で社会に出るために必要な能力をつけることになっているので、義務教育が終了したあとの年齢ということで、16歳から選挙権を与えてもよいだろうと考えました。
――海外ではどうなっているのでしょう?
高橋 世界の国の87.8%が選挙権を18歳以下から与えています。20歳から選挙権を得る国は、OECD30カ国で日本だけです。選挙権は18歳からという国が多いですが、イランでは15歳、キューバやブラジルでは16歳にも選挙権があり、ドイツやオーストリアでは16歳に地方選挙権を与えている州があります。
――日本でも選挙権を18歳にしようという動きはありますね。
高橋 2007年に国民投票法(日本国憲法の改正手続に関する法律)ができて、そのなかで2010年までに18歳成人・選挙権を検討するとされました。日本でも、18歳の選挙権はもうすぐ実現するところまで来ているんですね。ただ、できるだけ幅広い人に選挙権をという観点からは、さらに16歳まで引き下げたほうがいいと思います。