バターの消費落ち込み それでも値段は高止まり

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   「バターがない」と大騒ぎになった2008年から一転して、2009年は在庫が増えている。パン屋や洋菓子屋が外国産の安いバターやマーガリンにシフトし、業務用バターの消費が落ち込んでいるのが原因で、農林水産省によると、在庫は通常の2倍になっているという。

バター生産量は8.1%増

バターの在庫は通常の2倍になっている
バターの在庫は通常の2倍になっている

   バターは生産するのに時間がかかり、保存も効くので、月間消費量の2~3か月分の在庫が通常だ。しかし、農林水産省乳製品課によると、09年4~6月はおよそ5か月分となっている。

   08年は国産生乳が不足して減産したため、業務用、家庭用ともにバターの品切れが深刻になった。その後、業界をあげてバターの生産を優先し、09年4~6月のバターの生産量は前年同期比8.1%増に回復した。つくりすぎなのか。しかし、乳製品課担当者は、

「前年の生産量が少なかったので増加していますが、例年と比べると多くはありません。在庫が増えたのは、消費が落ち込んでいるからです」

   といっている。

   バターには業務用と家庭用がある。ほとんどが業務用でパン、洋菓子メーカー、レストランで使われている。

   ところが08年にバターが品薄になって価格が高騰してから、外国産の安いバターで代用する店が増えた。世界的な不況も追い打ちをかけ、バターよりも安価な油脂にシフトする店もでてきた。そんなわけで、バターの需要は減る一方なのだ。

生乳価格上昇で価格は高止まり

   在庫が増えているものの、バターの価格は高止まりしている。業務用バターの価格は09年6月時点で、1キログラムあたり1158円。4月の時点よりも20円ほど下がっているが、それでも1年前と比べるとおよそ200円以上も高い。

   バターの市場シェア4分の1という雪印乳業も、在庫は過剰だという。広報担当者は、

「生乳価格がこの1年半で2回も上がり、09年3月時点でも上昇しているので、現状では値下げしていません。でも、これ以上在庫を増やさないためには、価格の見直しを検討していく必要があるかもしれません」

   と話している。

   明治乳業でも需要の大きい業務用が芳しくなく、在庫を抱えている。広報担当者は、

「バターに限らず、乳製品は調整が難しいんです。牛にお乳を出すのをやめろとは言えませんから」

   ともらしていた。

   バターの需要は、クリスマスケーキなど洋菓子の出荷がピークになる秋口から年末に向けて伸びる。逆に言えば、この時期を逃したら過剰在庫の一掃は難しくなる。メーカー各社は値下げを含め、販売戦略を練っているようだ。

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