売り上げ急減コンビニ業界 スーパーや百貨店と同じ構造不況?

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   コンビニの売り上げ不振が鮮明になってきた。たばこ自販機用成人識別カード「タスポ」の全国導入から1年1カ月。カードを持たない喫煙者がコンビニでたばこと一緒に他の商品も買う神風に後押しされ成長を続けてきたが、タスポ効果剥落で消費不況の渦中に押し戻された格好だ。

7月は全社がマイナス

   2009年7月の全国主要コンビニエンスストアの売上高(既存店ベース)は、前年同月比7.5%減の6548億円。新規出店が難しくなっている事情も反映し、全店ベースの売上高も前年同月比5.0%減と2年1カ月ぶりに減少に転じた。6月は業界首位のセブンーイレブンが唯一、前年比1.5%増とプラスを維持していたが、7月は同社を含めて全社がマイナスになった。

   ローソンの幹部は「タスポ効果剥落の影響は予想以上だ」とショックを隠さない。7月の来店客数は同4.5%減(11億5578万人)、客単価は同3.1%減(566円)で、いち早く消費不況の波をかぶったスーパーや百貨店と同様の苦境に立たされた。今年は猛暑だった昨年に比べて雨の日が多く、アイスクリームや炭酸衣料など夏の定番商品が軒並み不振だったことも大きい。

   コンビニ各社が、海外展開の加速とともに次の成長戦略として力を入れているのは、若い世代が中心だった顧客層を広げることだ。ネットで購入した商品の受け渡しや、公共料金などの決済サービス、現金自動受払機(ATM)の設置など、これまで実施してきた取り組みはいずれもコンビニの「便利さ」を広げる目的。「今後は主婦や高齢者などにも気軽に立ち寄ってもらう場所に変身しなければ、成長は止まってしまう」というのが業界共通の認識だ。

   セブン-イレブンは4月と7月に、台所洗剤や歯ブラシ、シャンプーなどの生活用品47品目を平均15%程度値下げした。価格競争を続けるスーパーや量販店などとの価格差を縮めるのが狙いで、対象商品の売り上げは「値下げ後に2~3割増えた」という。セブン&アイグループのプライベート(PB)「セブンプレミアム」の品ぞろえを増やしたり、冷凍食品や総菜の品ぞろえを増やしたりしたのも主婦層を意識している。

ファミリーマートは「中食を強化する」

   ローソンは「一人暮らしの高齢者世帯が増えている」(新浪剛史社長)ことに注目する。1回で食べ切れるサラダや食パン、総菜などの商品を充実させたり、生鮮品の取り扱いを増やしたり。「低価格化には追随しない」ため、弁当とサラダなど総菜との抱き合わせ販売を進め、客単価の維持、引き上げも進めている。

   ファミリーマートの上田準二社長は「中食を強化する」と繰り返す。節約志向から「外食」は控え、自宅で食事をする「内食」化が進んでいるが、料理に時間をかけられない仕事を持った人向けなどに、店内で揚げたフライなど従来の弁当にとどまらない食品類を充実させている。健康を気にする一人暮らしの中高年男性などを想定し、揚げ物を一切使わない弁当なども販売している。

   コンビニ側のこうした攻勢に対して、スーパーチェーンなどはイオンなどが、コンビニと同じ程度の広さの生鮮食品専門スーパーの出店を加速しており、小売業界での顧客争奪がいっそう激しくなっている。

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