外国語教室をはじめとする語学ビジネス市場が振るわない。大手語学スクール「NOVA」破たんの悪影響に加えて不況、少子化がのしかかり、受講生数は急減。幼児やシニア世代をターゲットに、生き残りをかけようとしている。
受講生数は2年で半分以下
経済産業省が毎年発表している「特定サービス産業動態統計調査」によると、外国語会話教室の受講生数減少は目立っている。2006年の956万人をピークに、07年は743万人、08年は451万人と、2年間で半分以下の数字にまで落ち込んでいるのだ。
矢野経済研究所が09年8月3日に発表した「語学ビジネス市場に関する調査結果2009」によると、08年度の語学ビジネス市場規模は前年度比5.2%減の7672億円。その内訳を見ると、成人向け外国語教室市場は2000億円で前年度比9.1%減と大きく落ち込んだ。特に趣味・教養ニーズでの市場が17.3%減、1人対2人以上の講座で運営されるグループレッスン市場が10.9%減とガタ落ちだ。
その要因の1つが倒産した「NOVA」問題の余波。虚偽説明や誇大広告などで、特定商取引法に違反、07年6月に経済産業省より業務の一部に停止命令が下った。その後従業員の給与未払いや賃料滞納などが明るみになり、同年10月に経営破たんした。
これを機に国民生活センターへの語学会話教室に関する相談件数も増えている。06年3739件に対し、07年は1万8057件と急増といった具合だ。全国外国語教育振興協会の担当者は、破たんでNOVAの受講生約40万人が宙に浮く格好となり、さらにそれ以上の人が、広がった風評で業界に不信感を感じ契約を控えているのでは、と指摘する。
0歳からの英語コースも出現
ただ、「長期的に見れば市場自体は底堅い」と担当者は話す。NOVA以外の会社でも少子化や不況の影響で、学生など20代前後の受講生は減少傾向にあるが、子どもやシニア世代向けに新しい市場が生まれているそうだ。
「2011年度から小学校英語が必修化され、それに対応するため、いまや0歳からの英語コースもある。さらに定年世代が余暇を充実させるため、英語をもう一度やり直そうとする人も多い」
確かに前出の調査の中でも、幼児・子ども英会話教室市場は962億円で前年度比0.8%減、プリスクール(英語保育の幼稚園・保育園)市場は245億円、同8.4%増と堅調だ。シニア向けも英会話スクール「GABA(ガバ)」が旅行英会話コース「シニア・リフレッシャー・プラン」を09年4月に開設するなど、大手も参入し始めた。
さらにビジネスニーズ市場も底堅く、前年度比1.5%減の1126億円と踏みとどまっている。企業の国際化に伴う英語需要は今後も減少することはないと見込まれており、これに加え日本企業が進出する「BRICs」「VISTA」といった英語が通じない地域の言語の需要も高まりを見せている。前出の外国語教育振興協会の担当者はこう見る。
「中国語はもちろん、スペイン語、ロシア語、ヒンディー語などのニーズも増えています。確かに語学教室を取り巻く環境は厳しく、大きく伸びることは難しいが、このまま縮小し続けていくこともないのでは」