レンタルビデオ業界からもFX参入 そんなに儲かる商売なのか

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   外国為替証拠金取引(FX)業者が乱立ぎみになってきた。2007年9月に金融商品取引法が施行され、FX業者は金融庁への登録が必要になった。また、わずかな資金で高倍率の取引ができる「レバレッジ取引」が2010年夏から規制されたりと、経営環境が厳しくなるにもかかわらず、IT業者やレンタルビデオ業者が名乗りをあげるなど、参入が続いている。

IT、商社、通信にオーナー系まで

   FX業者などが加入している金融先物取引業協会によると、FXを取り扱う業者は現在、証券会社や商品先物取引業者、インターネット専業銀行にFX専業など116社に上る。

   FX業者は2007年9月に施行された金融商品取引法(金商法)によって、第一種金融商品取引業の登録が必要になった。登録には、純財産額が5000万円以上、自己資本規制比率140%以上などの条件をクリアしなければならない。

   反対に、「登録できない条件」は金商法第29条4項に明記されているが、金融庁は「基本的には、株主や経営者に違法行為がなければ、登録を拒否する理由にはならない」としている。

   あるFX専業の幹部は、「過熱ぎみだった2、3年前に比べればだいぶ落ち着いた」と話す。当時は、証券会社やインターネット専業銀行が新たな収益源として着目し、続々と参入した。

   金融業以外からの参入者も少なくない。なかでも目立つのがIT系で、「サイバーエージェントFX」や「カカクコム・フィナンシャル」はその代表格。大企業系では、「三菱商事フューチャーズ証券」が商品先物取引や商品ファンドの販売にFXを加えた。FX専業の「NTTスマートトレード」は、その名のとおりNTTグループだ。

   オフィスコーヒーから環境美化、ホテル経営などを手がけるユニマットグループの「ユニマット証券」や、旅行代理業のエイチ・アイ・エスの社長でもある澤田秀雄氏が経営する金融コングロマリット、澤田ホールディングスは「エイチ・エス証券」と「外為どっとコム」を抱える。

   こうした知名度の高い「大手」に混じって、オーナー系の規模の小さな業者もある。

「売り」に出たFX業者を他業界や外資系が買収

   最近、話題なのは「DMM.com証券」だ。金融とはまったく縁がない、DVDレンタルや動画、ビデオやCD、ゲームの通信販売などで知られているDMM.comが運営する。DMM.comが旧SBC証券を買収して参入。7月10日に「DMM FX」サイトを立ち上げ、サービスを開始した。

   多岐にわたる参入者だが、FX業はそんなに儲かるのだろうか――。あるFX関係者は、「海外旅行などで、株式よりも為替のほうが身近に感じられることもあって、FX取引自体がまだ伸びるという期待の大きい」という。

   最近は、ふだんからネット取引を活用する個人投資家が増えていて、「経営内容やバックボーンよりも、取引画面の使いやすさなどを重視する傾向にある」(別のFX関係者)。オーナー系のFX業者も「開業当初は新聞広告などでPRしたが、最近はもっぱらアフィリエイト。(FX業者を)ネットで探している人は多い」と証言する。

   さらには、自己資本規制比率やレバレッジ規制などの規制強化をきっかけに、合併や廃業を検討している業者が増えてきたこともある。規制強化によって、多額の自己資金が必要になるので耐えられず、「売り」に出ている業者を「他業界や外資系が買収している」(前出のFX関係者)というわけだ。

   規制強化は2010年夏以降になるが、既存のFX業者への適用は「段階的」になり、新規参入者には参入時から規制が適用されるという事情もある。豊富な資金源をバックに、今のうちに既存のFX業者を買収しておけば、規制の適用は「段階的」になる。規制が強化される前に参入を果たし、「100倍」「200倍」といった高倍率のレバレッジ取引で集客して囲い込む。そんな作戦のようだ。

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