集団感染が相次ぎ、大流行の兆しが出ている新型インフルエンザ。プロ野球チームの中には予防策として、選手とファンとがハイタッチすることやジェット風船の使用を自粛するところが現れた。一方、投票所でも新型インフルエンザへの予防策を練り始めた。学校の部活動でも練習試合などでは握手を控え、会釈で済ませているなどしているという。
「ジェット風船飛ばし」を自粛
人が多く集まる場所では、予防策が講じられている。
プロ野球ではたとえば、チーム内で集団感染があった日本ハムファイターズは2009年8月18日、本拠地の札幌ドームに、消毒液の設置を拡大させた。くわえて、試合前後にある選手とのハイタッチなどのファンサービスは当面の間、自粛することを発表している。かたや、阪神タイガースとオリックス・バファローズでは現在、毎試合の恒例となっている「ジェット風船飛ばし」を、自粛するように呼びかけている。
一方、第45回衆院選(8月30日投開票)に向けた選挙活動で、候補者らは、アピールの基本ともいえる「握手」にはとりわけ気を遣っていたようだ。自分から握手することを控えたり、手袋を着用したりと配慮を重ねた。
投票日当日には、各投票所でも新型インフルエンザへの予防策を行っていく。東京都千代田区では、区内にある16投票所の入り口付近に消毒液を設置する。また、受付のスタッフはマスクを着けえることを義務づける。さらに、咳き込みがひどい有権者には、声かけをしてマスクを配布するなどしていくという。
横浜市も同様で、18区内に637ある投票所には消毒液やマスクを準備する。横浜市の場合、スタッフはマスクを着用しない。担当者は「マスクを身に付けたスタッフが並ぶことで、有権者を驚かせてしまうので……」という。もっとも、スタッフたちは、こまめな手洗いやうがいの励行には十分つとめていくそうだ。
運動部では、回し飲みやめて、マイコップ持参
学校関係者も、予防策には余念がない。
十文字中学・高等学校(東京都豊島)では9月1日の始業式を前に、入り口には消毒を設置したり、教室内にも招集除菌剤を取り付けたりしている。ほかにも、マスクの備蓄数を増やしたり、保健室とは別に特別室をあらため設けたりなど入念に手を打っている。
部活動の際にも気を付けていることがある。バレー部など運動部では、水分補給するときには回し飲みすることはやめて、マイコップを持参する。練習試合のときには、試合前の握手を控え、会釈するにとどめている。柴宮菜穂子教頭は、「感染を心配して、接触を控えている。部活ごとに自主的に取り組んでいるようだ」と説明する。
東京都教育委員会によると、309ある都立高校・特別支援学校のうち53校で新型インフルエンザの集団感染が確認されているという。担当者は、「部活動の際の接触、または合宿による集団行動が感染につながっているようだ」と分析する。とりわけバスケットボールなど接触が多いスポーツには、集団感染が多い傾向だという。そのため、握手を控える行為は「納得できる方法」と話す。
なお、東京都教育委員会では、今後の感染者拡大を懸念し、拡大防止をはかるためのポスターの掲示、保護者向けのパンフレットの配布に急いでいる。9月上旬を目処には配布したい考え。4ページでできた冊子には、詳しい手洗いの方法や、感染時の連絡先を記した内容となっている。