ミラノ・サローネのような祭りをアキバで!
――ピクシブは日本だからこそ生まれたサイトともいえそうですが、海外展開も視野に入れているそうですね。
片桐 いまでもユーザーの7%は海外の人なんですが、もっとたくさんピクシブを使ってもらいたい。手応えは十分あります。国際化のためのカギは「無言語化」。ユーザーが言語を使わずに、アイコンだけでいろんな操作ができるようにして、国際化をしていきたいと思っています。
――日本のカルチャーの国際化といえば、いわゆる「国立マンガ博物館」も世界への発信を目的としているようですが?
片桐 それよりも僕は、アキバ(秋葉原)の街全体でマンガやアニメのお祭りをやったらいいんじゃないかと思いますよ。イタリアのミラノでは「サローネ」という世界的に有名な家具の見本市が開かれて、30万人ぐらい人が集まるんですけど、そのマンガ版みたいなものをアキバでやったら面白いんじゃないか、と。
ミラノ・サローネは街全体がお祭りになって、海外の企業の人たちがいっぱい集まってくる。日本でも、アキバみたいにマンガやアニメのカルチャーがある街で「世界最大のマンガの見本市」をやって、海外から人を呼び寄せたらいいんじゃないかと思うんですけど。
――日本のマンガやアニメには海外の人を呼びこむだけのパワーがあると?
片桐 ひきつける力は十分あると思いますね。ガンダムとかのビッグネームはもちろんですけど、それだけではなくて、ピクシブやコミケに出ているような多様性をもった作家やコンテンツがいっぱい集まることで、すごいパワーが生まれるんじゃないか、と。これからは一人の巨匠がひっぱっていく時代じゃなくて、1人1人にフィットするような多様性をもったコンテンツ群のほうが面白いんじゃないかと思うんですよね。
※インタビュー第11回は、エンピツむすめ代表の小松亜子さんの予定です。
片桐 孝憲さん プロフィール
かたぎり たかのり 1982年、静岡県生まれ。大学を中退した後、2005年にウェブ制作会社を設立。システムなどの受託開発を行いながら、自社のウェブサービスを展開。07年9月にリリースしたイラスト・コミュニティサイト「ピクシブ(pixiv)」が大ヒット。08年11月に社名をピクシブに変更した。社員犬チョビや社員のエンジニアたちと寝起きをともにしながら「ネット漬け」の日々を送る。