2009年8月30日に投開票される衆院選を前に「選挙割引」キャンペーンが各地で相次いでいる。各市町村の選挙管理委員会が発行する「投票済証」を提示すると様々な割引が受けられるというもので、中には有名ホテルの「スイートルーム半額」もある。
椿山荘「エグゼクティブスイート」半額
老舗の結婚式場「椿山荘」(東京・文京区)などを運営する藤田観光は、「2009年衆議院総選挙 投票率アップ大作戦!」と銘打って、同社が運営する全国40か所以上のホテル、レストラン、温泉や水族館などの料金が最大で半額になるキャンペーンを09年8月30日の投開票日から行う。期限は施設や商品によってまちまちだが、キャンペーン期間内であれば1枚の投票済証で何回でも利用が可能だ。
内容もまずまず魅力的。フォーシーズンズホテル椿山荘(東京)は全客室の室料を50%割り引く。例えば通常7万9695円の「エグゼクティブスイート シティビュー」(2人1室)が3万9847円。さらにホテル内のレストランでも10%から20%の割引を受けられる。
その他、箱根小涌園ユネッサン(神奈川県)や下田海中水族館(静岡県)の入場料が50%割引となるなど、北海道から長崎まで同社が運営する全国のホテルやレストランで割引や特典をつけるサービスを行う。
「選挙は全員が関係する時事ネタ。弊社にはまだまだ知れ渡っていない商品や施設があるので、このキャンペーンを機に9月の連休や遅い夏休みにでも利用してもらえるといい」
と広報担当者。投票権のない未成年者も1枚の投票済証につき5人まで同伴できる。
注文の際「投票へ行きました」と書けばOK
「旅行の予定がない」という人もちょっとしたサービスを受けられそうだ。
輸入・国内盤を扱う「DISC SHOP ZERO」(東京・世田谷区)では店頭での購入(8月24日~9月6日)が10%割引、インターネット通販(8月30日のみ)が5%割引となる「VOTE IS YOUR RIGHT」キャンペーンを行っている。通販では注文の際「備考欄」に「投票へ行きました」と書けば割り引いてくれるそうだ。
「何か考えるきっかけになればと思い企画した。海外では音楽で政治的なメッセージを発することもある。日本の若者も気軽に投票したり、興味を持ってくれたりすれば嬉しい」(飯島直樹店長)
早稲田商店会(東京・新宿区)の選挙セールは04年の参院選からとその歴史は古い。大学生が多く闊歩するこの街で、前回の参院選(07年)では、割引の受けられる店舗一覧をQRコードにしたカードを配布するなど、若者相手に工夫したキャンペーンを行ったこともある。
今回の衆院選は夏休みまっただ中のため、こうしたサービスは難しいというが、それでも商店会の半数以上の店舗が「定食100円引き」「歯科診察で歯ブラシプレゼント」「不動産仲介手数料10%引き」など多彩なサービスを行う。さらに投票所近くの店先では、麦茶を配りながら独自の投票証明書を発行。正規の投票済証をもらい忘れた人にも割引に役立ててもらうという。同商店会の山内康行会長は、
「店先にはポスター、のぼりを掲示し、折り込みチラシでアピールする。選挙に足を運んでもらうのと同時に、店の門もくぐってもらえればありがたい」
と話している。