酒井法子容疑者の覚醒剤入手ルートは解明されないまま取り調べが終了しそうだ。酒井容疑者のほか、夫の高相祐一被告、合成麻薬MDMAを服用した押尾学被告とも入手先の解明は進んでいない。芸能人の麻薬・覚せい剤入手ルート解明はなぜ難しいのか。
酒井容疑者は覚醒剤使用を反省していない?
酒井容疑者の夫で、自称プロサーファーの高相被告は覚醒剤所持で東京都渋谷の路上で逮捕された。所持していた覚醒剤はイラン人から購入したと取り調べで供述した。自宅から覚醒剤が見つかった酒井容疑者は、夫と別居していたため、使用した覚醒剤がすべて夫から譲り受けたものか疑問が残る。
こうしたことから、酒井容疑者が夫以外からも覚醒剤を入手していた、という話がまことしやかに報道されている。独自の入手ルートを持っていたということだ。逮捕状が出され「逃走中」に携帯電話を捨てたのも、入手ルートを隠蔽するためではないか、という見方がマスコミの大半を占める。
酒井容疑者がどこから手に入れたのかについて取り調べが続いているが、これまでにわかっているのは「夫から覚醒剤を勧められた」ということだけだ。
覚醒剤入手の経緯は依然「闇」のままで、2009年8月25日放送のテレビ朝日系「スーパーモーニング」でも、この点に話が及んだ。元麻薬Gメンの小林潔さんは、芸能人の麻薬汚染の捜査も数多く手がけてきた経験から、
「芸能人が渋谷のどこそこに行ってイラン人から(買った)という供述はするでしょうけど、こんなのは(捜査)現場の人間から見れば、信用はしていません」
と明かした。芸能人の覚醒剤入手ルートは「ごく親しい間柄」からが普通。また、お酒を飲みに行ったときなど、知り合いのバーテンの友達を介して、という場合もあるという。
コメンテーターの大澤孝征弁護士は、
「自分の退路を断つという意味でも、真に反省しているならば入手先を話すはず」
と語った。入手先を言えば、もうそこでは覚醒剤が買えなくなる。何も言わず上手く逃れることができれば、売人からの信用が得られる、というのだ。
「多くを語らない方が得策」という「戦術」
さらに、紀藤正樹弁護士はJ-CASTニュースの取材に対し、酒井容疑者が警察に出頭する前の不自然な行動や、取り調べで話した内容を見ると、証拠を出さず「多くを語らない方が得策」という「戦術」を使っているように考えられるという。それは、罪をなるべく軽くすることが狙いだろうとしている。
一般的に犯人が自分の犯行について洗いざらい話すことは極めて希だという。仮に、覚醒剤所持で逮捕された人間が、覚醒剤の入手先などを正直に話したとすれば、そこに捜査が入ることによって「罪が更に重くなる別の新しい証拠」が出てくる可能性があるからだ。酒井容疑者の場合は、逮捕されている夫の新たな覚醒剤使用の証言が出た後で、それに合わせるように自身の証言を変更している。紀藤弁護士によれば、酒井容疑者の入手ルートが解明されるとすれば、夫の証言が核心を突いたときか、捨てられた酒井容疑者の携帯電話のデータが解析された時ではないだろうかと予想している。